旅はバッグ選びから始まるわけだが、例えば「温泉でのんびり」と「自然のなかでキャンプ」とでは目的も気分も全然違う。つまり“本当に使えるバッグ”とは、それぞれの旅に見合った機能や見た目を備えたもの、ということになるのだ。
宿には「お世話になる」気持ちで。
バックパックはカジュアルすぎる。トロリーでは風情が足りない。温泉宿を訪れるのにぴったりなのは、ずばりボストンだ。軽量でしなやかな質感と耐久性を併せ持つ、コーティングキャンバス素材を使用したセリーヌの新作。ブランドの頭文字Cをモチーフにした「トリオンフ」を、総柄であしらった意匠だ。そのヴィンテージ感は、不思議と日本の宿にもマッチする。
整理整頓、几帳面な性格。
思い立って大きなバッグに片っ端から荷物を詰め込む。そんな旅の始まりもある。だが僕らは本来、地味に几帳面な性格なのである。こまごまとした旅のアイテムを整理整頓へ導いてくれるのが、ご覧のようなパッキング用ポーチ。下着やソックス。お気に入りの整髪料やアメニティ類。タブレットやイヤホンといったデジタル回りの小物。バッグの中が氾濫することは決してない。
いつだってスマートな旅人でありたい。
宿泊先に荷物を置いて、訪れた街の散策に出る。土産探しや食べ歩きは、この年になっても無邪気に楽しいものだ。そんなときにぴったりなのがこのバッグ。身体にフィットしてとても歩きやすいうえ、ストラップにはジッパー付きポケットが付属する。
スマホや携帯の収納に便利だし、少しお金を入れておいてもいい。あたふた財布を探ることなく、旅先での買い物もスマートにこなせるんじゃないかな。
濡れたウエットの始末はあと、あと。
いい波に出合えて今日は十分満足できた。濡れたウエットスーツは、大きな防水バッグにグイグイと入れてしまおう。ロールトップ式でしっかり密封してくれるから、トランクに水や砂が漏れる心配もない。大事なウエットのケアは家に帰ってからゆっくりと。さあ、うまいものでも食いに行こうか。
クルマで直付けする秘境だってある。
時間のない週末の小旅行でも、秘境のような場所を訪ねることはできる。そんなときはやはりバックパックが気分。撥水処理を施した綿×ナイロンのキャンバス地に、最上級のカーフレザーを部分使い。バッグ作りにおいて高い技術を持つ日本で作られた、「
アイ/ロエベ/ネイチャー」コレクションの逸品である。タフかつラグジュアリー。僕らの旅も、そんな雰囲気が漂えばいいと思う。
芹澤信次=写真 石黒亮一=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 加瀬友重=編集・文