常に考える「卒業」
一躍売れっ子アーティストとなった今も、常に冷静な目を忘れない小田井さん。『純烈』の合言葉である「夢は紅白出場、親孝行!」を叶え、今後はどんな目標を持っているのだろうか。
「次のコトは常に考えています。僕らの音楽はダンスもあるので体力的には年々きつくなる……どのグループもそうだと思うけど、ただ長く続けるのがいいのか、続けるにしてもテコ入れみたいなことをしたほうがいいのかなとか」。
6人メンバーで始まった『純烈』も今では4人となった。自身の「卒業」が頭を掠めることもある。
「メンバーで最年少の後上(翔太)は、まだ32歳。僕が残るより彼に近い年齢の子が入ったほうが活気も出るんじゃないか。自分はもうすぐ50なので、自分の歳を考えるといつまでもここにいることが果たして正解なのかなとか……そう考えることもあります。もちろん今の『純烈』をもっと楽しみたいという気持ちもありますけどね」。
そんなふうに自身の新たな可能性について思いを巡らせる余裕ができたのは、昨年結婚した妻LiLiCoさんの存在もあるのかもしれない。
「これを言うと彼女は嫌がるんだけど、実はプロポーズは彼女に背中を押されたんです。『結婚はどう考えてるの?』と聞かれて僕は紅白出場もまだ決まっていなかったし、『結婚したいけど……』ってごにょごにょ言ってたら『それっていつなの? 先々結婚するなら、いま結婚しても一緒じゃない』って。それもそうだなと目から鱗でした(笑)」。
そんな強く頼もしい妻となら絶対幸せになれると確信したという小田井さん。LiLiCoさんについて話が及ぶと、自然と頰が緩んだ。
「これまでの人生、理想通りだとか思い通りのものになった……なんて偉そうなこと言うつもりはない。でも人に迷惑はかけてこなかった、と胸を張れるから、今の結果を神様がくれたのかもしれません」。
やってきたことは嘘をつかない。40代後半で掴み取ったたくさんの結果こそ、小田井さんがこれまで努力を怠らなかった証なのかもしれない。
藤野ゆり(清談社)=取材・文 小島マサヒロ=撮影