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「また違う景色があるはず」アラフォーの楽しみ方


川島は、いまも所属チームでは、出場機会を得られていない。にも関わらず、若かった頃と比べて、いまが楽しくて仕方ないという。
「30代になってから、人生がすごい楽しいと思うようになったんです。なぜかと言うと、若い頃は、どんな自分を目指せばいいのかもわからず、先が見えないなかで、ただ頑張るしかありませんでした。
でも30代になってからは、いろんな角度で物事を見ながら、自分を作り上げていける感覚があるし、さらに、40代になったらどうなるのかなっていう好奇心も出てきました。40代になればまた違う景色があると思うんですけど、そこに向かっていくうえで、いまがいちばん楽しい時期なんじゃないのかなと思っています」。
川島は、他人の評価に左右されず、自分の進みたい方向へ進みながら、自分自身の変化を楽しんでいる。だから、あの悲劇のあとも「まだ夢の中にいたい」と表現したのだ。
そこで、ふと我に帰る。我々も皆、それぞれ自分だけの道を歩んでいる。その先にどんな未来が待っているのかは、誰にもわからない。だからときには不安にだってなる。この先も、楽しいことばかりじゃないことだって、なんとなくわかっている。
だからこそ、どんな状況にいようとも、自分の足元にある道を楽しみながら進んでいくのはひとつの生き方なのではないか。今の楽しみ方を知っていたら、これから先の人生も、きっと楽しむことができるはずだ。守護神・川島のように。
いま再び、あのシーンが蘇る。
「頼む、川島!」。
人間はつくづく勝手な生き物だ。想像したあの時のシーンは、都合よく脚色されている。穏やかだが力強い眼で未来を見据える川島本人を前に、右手の指先でボールを弾くその姿が脳裏に浮かぶのだ。
 
瀬川泰祐=取材・文


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