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2019.05.27

ファッション

無印良品が超コスパを実現するヒミツ。そこにあった人間ドラマ

大人が着たい期待のコスパ服●着回せて、着倒せて、それでいて、気負わなくていい服。それがつまり、コストパフォーマンスに優れるってこと。安けりゃいい時代も、高いが偉い時代もとうに終わった今、大人が着たい&大人が期待するコスパアイテムをガイドする。
このパンツは……3990円。あっちのジャケットは7990円、そのTシャツは990円!? おいおい、マジか。いつ行っても無印良品には使える服がわんさかあって、その有能さに反比例したプライスに驚かされる。
「このドロップショルダーのシャツはこれから発売する夏のイチオシ。去年も出したモデルの進化版なんですけど、とにかく涼しくて気持ちいいんですよ」。
そうにこやかに話すのは、無印良品の商品企画に携わっている、株式会社良品計画の賀曽利 進さん。彼の手元には、パリッとしたコットン素材の開襟シャツがある。
話しを聞いた人
無印良品の衣服・雑貨部紳士カテゴリーマネージャーの賀曽利 進さん(左)と、商品企画を手がける中嶋徹男さん(右)。賀曽利さんは小学生の子供を持つオトーチャン。賀曽利さんが高コスパと自信を持つ4アイテムはこちらから。
 
 

無印良品の新作シャツが持つ人間ドラマ

その手元にあった開襟シャツがコレ。オーバーサイジングのモノトーンデザインがモードな印象だ。賀曽利さんは、「身幅が広く、ドロップショルダーの今っぽいシルエットで、いい意味で無印良品のイメージを覆してくれるんじゃないかと思いますよ」という。
無印良品のシャツ
今季イチオシのオープンカラーシャツ。ブラックと、モノトーンのチェックというバリエーションも面白い。各2990円[税込]/無印良品(無印良品 池袋西武 03-3989-1171)
なるほど。確かにスタンダードなアイテムが多い無印良品の中ではちょっと新鮮だ。
「無印良品は、着る人が快適に過ごせる日用品を届けることが大前提。重視するのはトレンドではありません。とはいえ、ベーシックなものでも変わらないのではなく、当然、少しずつ進化はさせています。ちなみに、このシャツのシルエットも“今っぽさ”を求めただけでなく、着たときに清涼であるためにも、こうしているんです。身頃にゆとりがあるから風をよく通してくれますよ」。
ふむふむ。確かにシンプルだけど洒落っけも感じる絶妙なバランスだ。でも、やっぱり驚くべきは、その値段。1枚2990円[税込]なのだから。なぜ無印良品は、こんなに良心的な価格設定ができるのか?
「大切なのは、ただ安くすることが目的ではないということです。それでクオリティが落ちたら意味はない。だから、とにかく工場のスタッフと話をして、コミュニケーションを取るようにしているんです。海外にもバンバン行きますよ」(賀曽利さん)。
おぉ……! 想像以上にアナログ。もちろん、ただ視察に行くわけじゃない。
「現地に行って、工場の寮に泊まって、2週間くらい自分も工場に入ります。工場長と仲良くなって寝食をともにして、無印良品のものづくりについて夜な夜な語り続けるんですよ(笑)。シャツも大半を人が縫ってますから、コミュニケーションは本当に大切です」(賀曽利さん)。
同僚の中嶋さんは、
「賀曽利はベトナムのTシャツ工場に入り続けた結果、自分でもTシャツが縫えるようになって帰ってきましたからね(笑)。工場長と肩を組んで笑ってる写真がLINEで送られてきました(笑)」という出張秘話も教えてくれた。
こちらがベトナムのTシャツ工場訪問時の賀曽利さん(右から2番目)。一緒に写っているのは工場長とスタッフの方々。
かくいう中嶋さんはシャツの担当。彼もやはり中国の工場に数週間滞在し、同じようにしてスタッフたちと親交を深め、信頼を得たという。
「言葉も文化も違う工場への滞在はもちろん大変です。でも、実際に現場を見て、ちゃんと工場長と話して、想いを伝えることで、商品の質は必ず変わるんです」(中嶋さん)。
1着のシャツが世に出るまでにそんな人間ドラマがあったとは。さらに個々のアイテムだけでなく、無印良品の十八番、オーガニックコットンにもやはりそんなストーリーが。


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