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2019.05.19

あそぶ

我が子に残せる自転車を。100年物の「エイジングチャリ」はいかが?

>連載「いま乗りたい、俺たちのチャリ」をはじめから読む
スポーツカーやSUVがあるように、チャリだって好みは人それぞれだ。スピードを求めたロードが好きな人がいれば、BMXが好きな人までさまざま。
カスタムの味付けだって人それぞれだろう。しかし「自転車には選択肢が足りない」と嘆き、こんな異色の自転車を作ってしまったビルダーがいる。

ないなら作ろう!というわけで“鉄”から学んだ

自転車
見よ、この威風堂々たる風格! 一朝一夕では出せないオーラに満ちたこの自転車は、Rew10works(リューテンワークス)の池田隆治さんの手によるものだ。
池田隆治さん
「NYのメッセンジャーが乗るピストバイクに憧れて、自転車にどっぷりハマりました。ただ、自転車はスポーツとかレーシングばかりで、ストリートに目を向けて突き詰めて作っているものがなくて……。いろんなフレームビルダーさんにも相談したんですが、ストリートカルチャーに精通した方がいらっしゃらなかったので、核心が伝わりにくいんですよね。それで自分で作ろうと思ったんです」。
メッセンジャーとして活動しながら、22〜23歳でビルダーを志した。当時は技術を教えてくれるところもなく、門前払い。そこで鉄工所を渡り歩いて、まず溶接、金型、切削を学んだ。小手先の加工ではどうしてもリアルにならないと、なんと自転車作りの前に素材作りを学んだのである。
店内
そして自転車作りもみっちり学び、自らオーダーフレーム専門店を開業。かくして完成したのが、冒頭の「ブラックスミス」と名付けられた一台。仕事の合間にチマチマと作業し、1年ほどかけて仕上げた自分用だ。

余裕で100年もつ、誰とも被らない自分だけのチャリ

自転車
「鉄の家や橋桁に使われるコールテン鋼(耐候性鋼材)がフレームです。一般的な自転車に使われるクロモリ鋼より強度がないので、厚さが必要ですね。フレームだけならば雨ざらしで問題ない鉄で、錆びても大丈夫。むしろこの錆の味わいを求めて選びました。50年後には美しく黒光りしていると思いますよ。ただ、自転車にするには手間がかかる。ベストな厚みに削り込んで作るんです。重くてスピードは軽量ロードには敵いませんが、レーシング用じゃないですし、路上で走っているとトップスピードが出せるころには止まっちゃうじゃないですか」。
ステム
なにもフィニッシュしていない“無垢の鉄”から、ここまで味が出るのに5年。真鍮のパーツたちもすべてワンオフで作った。
フレーム
ちなみにフレームの上部だけステンレス。というのも、乗り降りで錆が擦れて風合いが変わるのを嫌ったのだ。
バッグ
フロントにしつらえたレザーのバッグもお手製だ。
「ここまでやれば、完成車価格は140〜150万円くらいです。頑丈でエイジングを楽しむ自転車なので、激しい事故でも起こさない限り、余裕で100年くらいもちますよ」。


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