2019年4月17日、ニューヨーク・ブルックリンにおいて、1足のシューズ、いやスポーツシューズ史上でも類い稀なコンセプトが発表された。それがアディダスの「FUTURECRAFT.LOOP(フューチャークラフト.ループ)」である。 アディダスは海洋汚染を防ぐためのプロジェクトに献身的に取り組むParley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)との間でパートナーシップを締結するなど、これまでもサステナビリティに高い関心を持つブランドとして知られてきた。 だが今回発表されたフューチャークラフト.ループは、一般的なスポーツシューズが10種類以上の素材を原料とするのに対し、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を唯一の素材とすることで、シューズを履き潰しても100%のリサイクルが可能。リサイクルの際に厄介な存在となる接着剤も使用していない。 こういったコンセプチャルなプロダクトの場合、そのパフォーマンス性能を犠牲にし、「街履きならいいけど、これで実際にスポーツするのは……」というレベルの製品が少なくなかったのだが、今作は驚くことにしっかりと高い機能性もキープしている。 イベントの終了後、世界中から集結したメディア関係者がこのフューチャークラフト.ループのランニングシューズを履いて、ゲーム性の高いランニングイベントに参加。途中1kmを4分15秒という速めのペースでも走ったが、本当に走りやすく、自然とスピードに乗ることができ、サステナビリティとパフォーマンスを高次元で融合していることを体感することができたのである。 現在はまだテスト段階で、本格展開は2021年春を予定。発売が今から楽しみだ。