連載「テクが手土産、日帰りDIY」
「Do It Yourself.」 第二次大戦直後にイギリスから始まった復興目的のムーブメントも、今や定番ホビーのひとつ。DIYテクニック習得を狙えるワークショップを開催しているスポットも少なからず存在する。未経験者からベテランまで、行けば必ず何かを得られるはず!
>連載「テクが手土産、日帰りDIY」を読むロゴ入りiPhoneスタンドをステンレスでDIY!
DIYといえば木工がスタンダードだが、
前回・
前々回とお伝えした各種マシンの揃うTecShop(テックショップ)なら、金属を使った作品に挑戦できる。「使う機械によっては事前にSBU(安全&基本講習)の受講が必要になります。安全に初歩的操作を行うためなので、極端に複雑な内容ではありません。お気軽にお問い合わせください」。
金属加工の基本である切断と溶接を学ぶには、シンプルなiPhoneスタンド作りが最適とのこと。今回使うのは「ワイヤーカット放電加工機」と「TIG溶接機」という2つの機械だ。ともに安全性が高く、初心者でも容易に扱えるものの、マシントラブルや怪我に繋がるので油断は禁物。十分注意を払いつつ進めていく。
2枚のステンレスが実用小物に変身!
材料は、ネットショップやホームセンターにて入手でき、耐久性十分なステンレス。単純なカット、折り曲げなどもオーダーできる場合が多い。部品は2つ、じつにシンプルだ。
”ワイヤーカット放電加工機”でロゴを入れる
ワイヤーカット放電加工機は、モリブデン鋼のワイヤーと材料の間に放電現象を発生させて加工するマシン。通電性のある素材なら、非常に細かい切り抜きができる。
オーシャンズのロゴデータを読み取らせる
まずはイラストレーターやCADで作ったデザインデータをインポートする。今回はオーシャンズのロゴを用意した。「データはUSBメモリに入れてお持ちいただいても、テックショップ内のPCで作成していただいても大丈夫です」。
カットのスタート地点と方向を指定
カットの始点と方向をデータ上で指示。すると、自動で切る経路を判断し、どういった順番で進むか示してくれる。「カットはいわば”一筆書き”で行われます。そのため、経路が途切れてしまうなら再開ポイントを指定しないと加工できません」。問題なくカットできる状態ならば加工画面に転送してスタンバイ。
材料を本体に固定する
マシンに材料のステンレス板をセットする。「小さい素材なので、クランプを使ってしっかり固定します。水平・垂直にしないと、正しいシルエットが出ないで慎重に」。
ワイヤーをカットの始点に動かす
X軸とY軸のハンドルを回転させ、カットのスタート地点までワイヤーを移動させる。
「移動させたポイントからカットが始まります。データ通りに切り抜けるよう、素材の天地左右は少し余裕を持たせたほうが良いでしょう」。
マシンの扉を閉じると、ディスプレイ上でのシミュレーションが可能に。この時点で問題があればデータの見直しを。
材料に応じた出力設定を行う
マシンに貼られている表から、最適な出力を判断。正しいスイッチのみオンにする。「今回は1mmのステンレスなのでパワーが2。パルスペースは10、パルスワイドが12になるよう押します」。
そして、ワイヤー送りボタンと加工液ボタンをプッシュ。
「ワイヤーはロールに巻き取られていて、回転することで上下の動きを繰り返す仕組み。加工液はワイヤーを冷やし、通電しやすくします。コンピューターに左右されない部分のため、別に稼働させないといけません」。
スタートするとデータ通りにカットが始まる
データを送信するとカット開始。加工液が流れ、小さな火花も出しながら、ワイヤーがデザインのアウトラインを進んでいく。
切り抜いたパーツが落ちないようクリップ留め
Oの内側を切り始めてしばらくしたら一度ストップ。円形がくり抜かれて落ちる前にクリップで固定する。「切り落とし部分が稼働中のワイヤーに触れると故障に繋がります」。
切断加工がフィニッシュ
約20分でワイヤーカッターの出番は終了。加工液をふき取ると、見事にオーシャンズのロゴがステンレスから浮かび上がった。
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