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住まいづくりが誰にとっても身近であるように

幼い頃から、建物や工事現場に興味があったという原さん。建築系大学に進み、設計士となるのは自然な流れだった。独立を考えるようになったのには何か理由があったのだろうか。
原直樹
「新卒で入社したのが、主に注文住宅を扱う会社だったのですが、勤めていくうちに余裕のある人だけじゃなく、もっといろいろな人にとって住まいづくりが身近であってもいいんじゃないかと思ったんです。まあ正直にいうと自分自身、決して高いとはいえない月給で働いてたんで、お客さんと心の距離を感じていたんですよね」。
住まいという居場所を、もっと自由で身近に、誰でも手に入れることができるような会社を作りたい。そんな想いが芽生え、2004年、33歳で独立を果たした。リノベーションならば金額を抑えた理想の住まいづくりも可能となる。
15年前は「リノベーション」は一般化されておらず、Yahoo!で検索すれば原さんのHPがトップにくるような状況。業界はまさにブルーオーシャンだった。
「僕が初めてリノベーションという言葉を聞いたのは、ブルースタジオという会社の『リノベーション物件に住もう!』という本を見たときから。調べると、リノベーションは単なるかっこいい中古住宅というだけでなく、深い社会的な意義があるということに気づきました」。
建物の経年に伴い、時代に合わなくなった機能や性能を、時代の変化にあわせて新築時の性能以上に向上させる……リノベーションには建て替えるのではなく、既存の建物に手を加えることでより価値を高めるという意味があるのだという。
「もともと興味があったのと、独立するなら今ある土俵で勝負するより開拓したほうが早いかなというのはなんとなく思ってましたね。立ち上げたときにリノベーションをコンセプトにして本気でやっている会社って、おそらくうち以外なかったと思いますよ」。
綺麗な新築住宅を作る会社はあっても、リノベーション専門の建築会社は当時まだ類を見ず、会社は順調に成長していった。とはいえ、もともと独立欲があったわけではなかったという。
「まあ、成り行きですね(笑)。会社勤めも別に嫌いだったわけではないし。ただ30を過ぎて今後どうしようかなと考えたときに、独立か再就職かという選択肢があるなら、自由なほうが性に合っているだろうと。そこにあまり迷いはありませんでした」。


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