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2019.04.29

ライフ

住宅リノベーター・原直樹(48)が体現する、自然体で仕事を楽しむ生き方【前編】

>連載「37.5歳の人生スナップ」を読む
経営者として事業を拡大しつつも、自分らしさを失わずに働き続ける男がいる。
「流れのままに生きてきただけなんだよね」。
原直樹
そう飄々と語るのはリノベーション専門の建築会社「フィールドガレージ」の代表・原直樹さん(48歳)。リノベーションに適した物件探しから設計、施工、さらにオーダー家具制作やオリジナル商品の販売まで、理想の家づくりを幅広くサポートするスペシャリストだ。
「最近はタイニーアパートメントプロジェクトに力を入れています。都会のワンルーム賃貸ってどこも画一的で味気ないじゃないですか。帰ってきたときのワクワク感をワンルームでも味わってほしい」。
タイニーアパートメント
タイニーアパートメントとは、「タイニーハウス(小さな家)」+「ワンルーム賃貸」の造語だ。無個性だったワンルーム賃貸に原さんならではの遊び心をプラスし、賃貸物件として貸し出している。ただ便利な場所にあるだけの家、ではなく、細部までこだわりぬかれた理想の住まいになるよう、リノベーション的ワンルームを提案しているのだ。
DIY STUDIO
中目黒にある事務所の横には、DIYの貸しスタジオも併設。DIY用の工具がぎっしりと並ぶ(「DIY STUDIO」についてはコチラの記事を参照)。
「ここはもともと僕の遊び場だったんだけど、どうせなら使わないときは貸し出そうかなと。なかなかこれだけの工具を揃えるのは大変なので。日々のルーティン? 特に決まっていないですね。出勤前にヨガ行ったり割と自由だし……」。
そう言って朗らかに笑う姿は、複数の事業を展開する敏腕経営者というよりは、目の前の遊びに夢中になる少年のようだ。自分らしく、でも着実に結果を残す、原さんの生き方に迫った。
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住まいづくりが誰にとっても身近であるように

幼い頃から、建物や工事現場に興味があったという原さん。建築系大学に進み、設計士となるのは自然な流れだった。独立を考えるようになったのには何か理由があったのだろうか。
原直樹
「新卒で入社したのが、主に注文住宅を扱う会社だったのですが、勤めていくうちに余裕のある人だけじゃなく、もっといろいろな人にとって住まいづくりが身近であってもいいんじゃないかと思ったんです。まあ正直にいうと自分自身、決して高いとはいえない月給で働いてたんで、お客さんと心の距離を感じていたんですよね」。
住まいという居場所を、もっと自由で身近に、誰でも手に入れることができるような会社を作りたい。そんな想いが芽生え、2004年、33歳で独立を果たした。リノベーションならば金額を抑えた理想の住まいづくりも可能となる。
15年前は「リノベーション」は一般化されておらず、Yahoo!で検索すれば原さんのHPがトップにくるような状況。業界はまさにブルーオーシャンだった。
「僕が初めてリノベーションという言葉を聞いたのは、ブルースタジオという会社の『リノベーション物件に住もう!』という本を見たときから。調べると、リノベーションは単なるかっこいい中古住宅というだけでなく、深い社会的な意義があるということに気づきました」。
建物の経年に伴い、時代に合わなくなった機能や性能を、時代の変化にあわせて新築時の性能以上に向上させる……リノベーションには建て替えるのではなく、既存の建物に手を加えることでより価値を高めるという意味があるのだという。
「もともと興味があったのと、独立するなら今ある土俵で勝負するより開拓したほうが早いかなというのはなんとなく思ってましたね。立ち上げたときにリノベーションをコンセプトにして本気でやっている会社って、おそらくうち以外なかったと思いますよ」。
綺麗な新築住宅を作る会社はあっても、リノベーション専門の建築会社は当時まだ類を見ず、会社は順調に成長していった。とはいえ、もともと独立欲があったわけではなかったという。
「まあ、成り行きですね(笑)。会社勤めも別に嫌いだったわけではないし。ただ30を過ぎて今後どうしようかなと考えたときに、独立か再就職かという選択肢があるなら、自由なほうが性に合っているだろうと。そこにあまり迷いはありませんでした」。
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