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2019.05.03

ファッション

濡れたまま放置は絶対ダメ。アウトドアウェアの正しいメンテ術

正しいメンテと賢い収納術【冬服編】●4月に雪が降る異常事態を終え、そろそろアウターをクローゼットにしまい込んでも良さそう。でもその前に、ちゃんとメンテした? 次の冬も仲良くするための適切なケアと保管方法についてプロに聞いてきた。
水を弾き、風から身を守ってくれるアウトドア系のシェルジャケット。ハイテクな性能からケアや管理は複雑? と思いきや、意外とそうでもないみたい。

そのノウハウを教えてもらいに、高級クリーニング店・レジュイールの榎本さんを訪ねた。
 

自宅でできるメンテ術。まずは洗濯機に放り込め!

「繊細な素材のアウターは汚れに応じてドライクリーニングもするんですが、基本は水洗いです」。
持ち込んだ3レイヤーの防水ジャケットを手にしながら榎本さんはそう話す。洗濯機にかけていいなんて意外。
「はい。一般的なナイロンやポリエステルのシェルのものは洗濯機で洗って大丈夫です。ただし乾燥機はオススメしません。アイテムや状態にもよるんですが、シェルと機能素材がラミネートされている場合、それが剥離してしまうことがあるので」。
なるほど。ただ、洗濯機にかける前に汚れている部分は先に手入れをしておいたほうが良いとのこと。洗濯機に入れる前と出した後のポイントを押さえておこう。
 
Point 1:汚れはブラシで掻き出せ!

「具体的には袖口やポケットです。泥や皮脂、汚れがついているとそこが硬化しますし、生地も酸化して破れやすくなってしまうんです」。
小さなブラシで、ステッチなどに溜まった汚れや埃を掻き出しておくと、その後の洗濯の効果も倍増する。黒ずみなどは洗剤を付けて入念に。
 
Point 2:アルミホイルをうまく使うべし!
面ファスナーやジップ、Dカンやストラップなど、機能服ゆえに細かいディテールが多いこの手のアウターは、ほかの服と絡まらないよう、フロントジップは閉めてネットに入れるのがベター。すすぎと脱水もしっかりと。
防水のシェルの場合、脱水後も水が残っていることがあるので取り出すときには注意が必要だ。さらに、洗濯の際はこんなひと工夫も有効。
「ジップタブやドローコードのストッパーなどは、擦れたり割れたりしやすいので保護してあげるといいですよ。家庭であれば、アルミホイルで包んであげるだけで安心です」。

榎本さんが「家庭での洗濯用に」と用意してくれたアルミホイル。短冊状に切っておくと使いやすいとのこと。

ドローコードのストッパー。これをこうして……

こう。

続いてアジャスターのバックル。この辺りの部品も保護の対象。

こうやって……

こんな感じ。簡単だけど、効果は絶大。大切なアウトドアアウターだけに、長く着るための配慮は抜かりなく。
 
Point 3:畳んでしまうのは命取り!
洗濯後は完全に乾くまで、ハンガーに掛けてで日陰に吊るして置くこと。そして、乾いたらクローゼットへ。保管方法はジャストな肩幅のハンガーに掛けておくのがベストとのこと。
「風通しの良いところで、ほかの服とぶつからないくらいの間隔で掛けておくのが理想です。稀に長期間そのままだと接している部分が色移りすることがあるので、フードのあるものはフードとボディの間に薄い布を1枚挟んでおくとより安全です」。
意外と手入れの要点はシンプルだったアウトドアアウター。なるほど、それも含めて機能的だ。では、それを怠るとどうなるかというと……。
 

脱いだまま放っておくと遭遇する怖い事態

「畳んで保管していたアウトドアアウターに多いのがシワくちゃ問題。素材がラミネートされてるからアイロンもかけられないし、シワがそのまま残っちゃうんですよね」。
そう話してくれたのは、これまで大量のアウトドアアウターを見てきた加瀬善隆さん。ヴィンテージショップ、ハレルを率いる“歩く服辞典”だ。
「古いものはパーツが壊れている場合も多い。袖口の面ファスナーとか、裾やフードのドローコードのゴムが伸び切っていたり、そのストッパーが壊れていたり。そうなるともう台無しですよね」。
って、先程のアルミホイル作戦を怠るとそうなるってことか。
そんな“ハイスペック風アウター”になってしまう前に、早めの対策を。
 
Rejouir(レジュイール)●約35年の歴史を持ち、現在では世界的メゾンからのクリーニング依頼も途絶えない東京・南麻布の高級クリーニング店。熟練した職人がアイテムごとに最適な処理を見極めて、1点1点に膨大な手間をかけてケアしてくれる。
住所:東京都港区南麻布1-5-18 FRビル
電話:03-5730-7888
営業:9:00〜18:00
日・月曜、祝日定休
今野 壘=取材・文


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