正しいメンテと賢い収納【冬服編】●4月に雪が降る異常事態を終え、そろそろアウターをクローゼットにしまい込んでも良さそうだ。でもその前に、ちゃんとメンテした? 次の冬も仲良くするための適切なケアと保管方法についてプロに聞いてきた。今回は番外編で冬の革靴をピックアップ!
秋冬に活躍したブーツなどのレザーシューズは、夏になれば出番なし。その間にコンディションを整えて、また時季が来たらともに歩もうじゃないか。見た目と履き心地をベストに保つためのメンテナンス&保管術とは?
手遅れになる前に知っておきたい管理のチェックリスト
冬服メンテナンスシリーズで、さまざまなアイテムの適切な管理法を教えてくれたレジュイールの榎本裕介さん。最後は特別に、ショップではクリーニングを受け付けていないシューズについても、公私にわたる経験からケア方法をレクチャーしてくれた。
【はじめに】あなたの一足は表革か、スエードか
ひとくちにレザーシューズと言っても、スムースレザーとスエードとでは、その手入れの方法も微妙に異なる。まずはスムースレザーから。
「
レザーアウターのメンテナンスでも触れましたけど、やっぱりオイルやクリームの使用は必要最低限に留めてください。特に湿気の多い夏場に過剰な栄養分が残っていると、それはカビにとって絶好の繁殖場所になるので。
具体的な手順ですが、まずは、肌着のような柔らかい布を濡らして固く絞ったら、アッパー全体を拭いてください。ベージュやグレーなど、淡いレザーは水分で変色してしまう可能性があるので、まずは見えない部分で試してから。変色しそうなら、ウエスなどで拭いて埃を取ってあげましょう」。
ステッチやウェルト部分など、細かいところにはブラシを使うのも有効だ。そのうえで、レザーが固くなっている部分があれば、そこにだけオイルやクリームを使うんでしたよね?
「そうです。それだけで十分コンディションは維持できますよ。次にスエードですが、スエードはブラシをメインに使います。
ウールコートなどに使った馬毛や豚毛ではなく、真鍮ブラシがあると便利です」。
【掃除】ブラシは硬め、スプレーは離して
あまり聞き慣れないが、毛足の一部に真鍮を使ったタイプだそう。現物を触ると、一般的なブラシよりかなり固めだ。
「これの良いところは、硬さがあるので、スエードの毛足の根元に届きやすいんです。これでブラッシングすると、スエードの汚れはかなり落ちますよ。特に汚れている部分は少し強めにこすってみてください」。
毛足の根元やステッチに溜まった汚れを掻き出すようなイメージで。
ブラシをかけると、履き込んで潰れていたスエードも、だんだん本来の質感を取り戻してきた。
「そのあとは、スムースレザーの要領で、濡らして固く絞った布で拭いてください」。
このときカサつきや硬化が感じられた場合は栄養を入れてあげよう。ただし、オイルやクリームは質感を損ないやすいので、スプレータイプがオススメ。
スエードやヌバックなどの起毛革に栄養を与えてくれるスプレー。こちらは防水性も持たせてくれるので、ブーツなどシューズ類にオススメとのこと。
スプレーを吹きかける際は少し離して。近いと液だまりができて、シミになってしまう。
【保管】シューツリーを入れて、箱には入れず
保管の際は「できればシューツリーを一足ごとに用意してください」とのこと。
「そのまま保管すると、履いていた形で固定されてしまうんです。見栄えも悪いし、履き心地も落ちるので避けた方が良いでしょう。シューツリーを入れておくとアッパーがちゃんと伸びて、次に履くときにまたキレイなシルエットに戻ってくれますよ」。
ちなみに、レースアップタイプの場合は靴紐を通したままで保管してOKとのこと。風通しが悪くなるので、できれば箱には入れず、日陰にそのままの状態で置いておくのが良いのだそう。
「あとは、臭い取りや乾燥剤もあると良いですね。衛生的だし、保管によるトラブルが一気に減りますよ。靴箱に入れて保管する場合でも、周りに防カビ剤を置いておくと安心感が増します」。
放置した不衛生な靴は、やっぱり家族からの批判のマトにもなりやすい。今年はスマートなシューケアで、大人の矜持を見せておこうじゃないか。
Rejouir(レジュイール)●約35年の歴史を持ち、現在では世界的メゾンからのクリーニング依頼も途絶えない東京・南麻布の高級クリーニング店。熟練した職人がアイテムごとに最適な処理を見極めて、1点1点に膨大な手間をかけてケアしてくれる。
住所:東京都港区南麻布1-5-18 FRビル
電話:03-5730-7888
営業:9:00〜18:00
日・月曜、祝日定休 今野 壘=取材・文