去る1月にスイス・ジュネーブで開催された「SIHH2019」「WPHH」を中心とする腕時計の祭典。本誌取材班は今年も海を越えてかの地へ。そこで見た感動と世界の目利きたちが唸った傑作を厳選してお届けする。
昨年フィフティーシックスを発表し、新たな層にアプローチした。その拡充に加え、革新的なパーペチュアルカレンダーを開発。次世代に向けてさらに進化を遂げた。
ペトロールブルーが彩る名門の風格
昨年一挙に4機能のモデルを発表し、大きな話題を呼んだコレクションに、専用カラーとして開発されたペトロールブルーのダイヤルが加わった。月と曜日の表示窓、文字盤外周のポインターデイト、さらにムーンフェイズを搭載するコンプリートカレンダーを精悍に引き締める。
1950年代の歴史的アーカイブからインスピレーションを得たモダニティ漂うデザインに、洗練のカラーを組み合わせ、魅力の幅をさらに広げる。
伝統の技を駆使したパンダのユニークピース
1点物や特注モデルの製作を担うレ・キャビノティエ部門の新作は、細かくカットした木片で構成するウッドマルケトリー技法(木象嵌)でパンダを描いた愛くるしい腕時計。使用する木片は300個以上にも及ぶ。
任意で振動数を変更できるツインビート・システムを搭載
パーペチュアルカレンダーの弱点とも言える停止後のカレンダー合わせを防ぐため、異なる振動数を持ったふたつのテンプを組み込み、8時位置のプッシャーでこれを切り替えることで限られたパワーをより有効に使う。スケルトンダイヤルはそんな革新的な機構を視覚で楽しませてくれるのだ。
紳士が集う場所のはずが……
ブースに設置されていたバーカウンター。気分良く何杯もご馳走になり、その結果、千鳥足でSIHH会場をさまよう(汗)。
「ツインビート・システム」は、江戸時代の時計からヒントを得たんだって。
※本文中における素材の略称:K18=18金、WG=ホワイトゴールド、Pt=プラチナ、SS=ステンレススチール
柴田 充、水藤大輔=文