妻との結婚が「理想の暮らし」を見つめ直すキッカケに
コンピューター系の専門学校を卒業後、新卒で入社したのは大阪のシステム会社だった。そこで先輩として出会った女性が、後に妻となる理絵さんだ。
「僕が入社したときの印象は『なんかオタクが入ってきた』だったみたい(笑)。当時はただの先輩後輩でしたが、部署が一緒になったことで飲みに行く機会が増えました」。
入社8年目、エンジニアとして働き続けていた増田さんは30歳での結婚を機に、夫婦で“理想の暮らし”について考えることが増えたという。2人にとって理想の生活を話し合ったとき、互いに田舎が好きで、本当は田舎で暮らしたい、という想いが強いことがわかった。
「僕の祖父母のいる大三島は幼少期に釣りをしたり、結婚前から妻と遊びにいったりした故郷のような大切な場所。話し合って、祖父母が元気なうちに大三島に移住しようということになったんです」。
しかし、大三島から大阪への通勤はどう考えても現実的ではない。それでも仕事を辞めて移住……という選択肢は望む形ではなかった。そこでふたりは仕事を続けながらリモートワークで働ける方法を探った。
地方移住=退職。そう考えがちだが、増田さん夫婦は移住まで1年の準備期間をもうけ、その間に移住先での働き方や生活基盤を整えることに専念した。
「大三島には農業や造船業など限られた仕事しかない。なんとかなるやで退職していたら、仕事を見つけるのは大変だったと思います」。
ジョブチェンジするのではなく、どうすれば自分が好きな仕事を地方でも継続できるか。理想の暮らしに妥協を挟まないのが増田さんなのだ。
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