春と言えば花見、花見と言えば酒。今年の春はちょっとこだわった「花見酒」を楽しんでみよう。酒の種類、桜を見る場所、そして花見酒にまつわる粋な小話……楽しみ方は無限大。サクラサク、花見酒。
飲みきりタイプの日本酒「ワンカップ」は持ち運びにも便利で、花見酒としても便利。なかでも最近では“春カップ”と呼ばれるワンカップも登場していて、これが花見酒にピッタリらしい。
しかし、ググっても全然情報がヒットしない……ということで、全国から約200種類ものワンカップを取り揃える新宿の居酒屋「千酉足」を訪れ、ワンカップを愛する川合英夫センパイにお話を伺った。
花見酒には“春カップ”がオススメな5つの理由
「ワンカップの利点は持ち運びに便利というだけではなく、とにかく鮮度がいいんです。一升瓶の場合、一度開けると品質が変化していきますが、ワンカップは瓶詰めされたときの状態がほぼそのまま保たれています。
特に、寒仕込みの新酒を春仕様のカップに詰めて限定販売される“春カップ”は、まさにこの時季しか味わえない特別な一杯。私のオススメの飲み方は“常温”で、これが本来の味を一番感じられると思います。冷やさなくていいということは、まさに花見に最適。一升瓶で揃えようすると大変ですが、ワンカップだといろんなバリエーションの銘柄が楽しめるのもいいですね」。
まとめると、“春カップ”のメリットは……
1.寒仕込みの新酒が味わえる! 2.とにかく鮮度良し! 3.持ち運びしやすい! 4.いろんな銘柄を楽しめる! 5.常温が旨いから花見に最適!ということ。これを花見で試さない手はない。さっそく川合さんに、今楽しめる“春カップ”を紹介してもらった!
平成最後の花見に楽しみたい“春カップ”5選
「篠峯」(奈良)
辛口だがほのかな甘味があり、キリッとした飲み口と深みのある酸味が特徴の「篠峯」。仕込水は奈良県・葛城山の伏流水を自社井戸から汲み出し、そのまま使用している。明治6年に創業された小さな蔵だが、9年連続で全国新酒鑑評会において金賞受賞をしている超実力派。
「乾坤一」(宮城)
1713年創業の蔵元が造る日本酒「乾坤一」(けんこんいち)。米の旨味を感じながらも、キレのある味わい。ほんのり感じる吟醸香も評判。蔵元は東日本大震災で大きな被害を受けたが立て直し、伝統ある寒造り製法で高品質な酒造りを続けている。
「奥播磨」(兵庫)
どんな料理にも合わせやすく、食中酒として抜群の活躍をする山廃純米酒の「奥播磨」。濃厚な旨味と酸、しっかりとしたキレを誇る。ほのかな熟成香が魅力。酒造りはわずか5人で行われていて、明治17年の創業以来、未だに機械化・大量生産を一切せず、手造りの伝統を守り続けている。
「白隠正宗」(静岡)
麹の香りを残す一杯。上品な酸味と辛味、ドライなキレ味が印象的な「白隠正宗」。食事と一緒に飲むとよりポテンシャルを発揮する万能食中酒。仕込水に使用しているのは約300年前に降った富士の雪解け水。そのまろやかさは格別で、「富士の霊水」と呼ばれるこの水を汲みに、わざわざ遠方から訪れる人も絶えないという。
「大治郎」(滋賀)
春限定の「大治郎」うすにごり生酒。鈴鹿山系の伏流水と信頼できる地元の契約農家による酒造好適米「吟吹雪」を使用している。もろみを絞った後に残る「おり」をからませているため、酒の渋みが和らぎ、うっすらと濁っているのが特徴。生酒なので花見の日までは冷蔵保存で。
“春カップ”の種類は年々増えつづけているという。ちなみに、ここで紹介した“春カップ”は、すべて千酉足で1100円で飲むことができる。そのほかのネットショップでも購入できるので、さっそく気になったカップを一杯、気軽にヤッてみよう!
ぎぎまき=文