今回の看板娘はちあきーぬさん(25歳)。本名はご想像通りに千明だが、高校3年生のときにTwitterを始める際に、なんとなく「ーぬ」を付けて登録したことがきっかけでニックネームとして周囲に浸透したという。
メニューを見ると、一番大きな文字で書かれているのが「牡蠣とベーコンのクリームソース」。店の自信が伝わってくる。悩んだ末に麺はフィットチーネを選択。
牡蠣とベーコンとバランタイン。美しいではないか。超有名なスコッチウイスキー「バランタイン」はもちろん美味しいが、このパスタがただ者ではなかった。
胡椒、タバスコ、粉チーズで味変を楽しみながらいただく。
さて、ちあきーぬさんは奈良県吉野郡の出身。花見の名所、吉野山もまあまあ近いそうだ。高校を卒業後、大阪で一人暮らしをしながら演劇系の専門学校の声優コースに通った。
「でも、知識だけを学んでも先がないなと思って、学校を辞めて舞台の現場に飛び込みました」
鈴の鳴るような声でなんとも癒される。α波が出ているのではないだろうか。声優になりたいという夢は高校時代から。しかし、現在は役者も絵もすべて「表現の一環」と解釈し、自分の道を模索し続けている。
好きな画家を聞くと、シャセリオーとレンピッカとのこと。浅学にしてどちらも知らなかった。ちなみに、上の絵のタイトルは「経(ふ)る」。
「昨年12月に友達とふたりで原宿のデザインフェスタギャラリーで展示をしたんですが、そのときの作品ですね。タイトルを先に決めてから直感で描きました」
描き上げたときに「うん、『経る』だ」と思ったというからすごい。
ちなみに、この店で働き始めたのは1カ月ほど前から。理由は「求人サイトで検索したら一番上に出てきたから」という潔いものだった。大阪時代に海鮮系の居酒屋などでアルバイトをしていたので、飲食業には慣れている。一緒に働いていた女性スタッフも言う。
「入ったのはほぼ同時期なんですが、接客も厨房業務も完ぺきですごいなと思いました。いつも、やさしく教えてくれます」
さて、すっかり日も暮れた。ちあきーぬさんは「次の居酒屋バイトがあるので」と言って颯爽と去っていく。
気づくとバランタインのロックは水割りになっていた。
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