楽しい「日“洋”品」案内
その名の通り日々の「用」をこなすための日用品。それが、日本では見られないデザインや機能を備えた“洋モノ”になると気分が上がる。男にとって日用品ってそういうもん。春の新生活に向けて集めてきました、世界の役立つ「日“洋”品」。
前回、横浜にある工具のセレクトショップ「ワールドインポートツールズ」店長の樋口 亮さんに聞いた、
スイスとドイツの選抜ドライバー4本。
“基本のき”であるドライバーのお気に入りを見つけたら、次に見つけるべきは何か?
自分的「アガる」工具を見つける
「ドライバー以外の工具でも、海外にはちょっと気分をアゲてくれるような特徴のあるものがたくさんあります」と樋口さん。(以下カッコ内はすべて樋口さん)
女性や子供でも扱いやすいもの、デザインに力を入れているもの、機能が抜群に良いものなどなど、さまざまな特徴があるなかで、「自分なりにアガるポイントが何か見つけて、そして見つけたらそのブランドのものを、あれこれ見てみるが良い工具に出合う近道ですかね」。
「“断つ”鳥あとを濁さず」
クニペックス(ドイツ)
ドイツのクニペックスは、“握りモノ”と言われるニッパやペンチなどを専門に作る珍しいメーカー。数百種類に及ぶラインナップや、専門メーカーならではの精度と機能で、世界中のプロに愛用されている。
「このニッパは精密作業を行うプロ用に開発されたもので、切断面が驚くほどキレイ。プラスチックの端やコードを切るときや、結束バンドのはみ出た部分を切るときなど、普通のニッパならちょっとだけ切り残しがあったりしますが、これで切るとほぼ完全にフラットになります。切れ味も抜群で、オープンスプリング(力を抜くと自動で刃が開く)なのはプロでなくても扱いやすいですね」。
さらに大きな特徴が、先端についたこのシルバーの金属部分。「こちらが切り取った部分をホールドしてくれ、“パチンと切ったらそのまま破片が彼方へ飛んで行った”というあるあるも防いでくれます」。“断つ”鳥あとを濁さずなニッパなのだ。
「“いい”加減の電動ドライバー」
インガソール・ランド(アメリカ)
大型家具の大量のネジ止めや車のタイヤ交換など、初めて電動工具を使ったときの興奮と圧倒的な早さは感動モノ。
ということでぜひ導入を検討したいのが、DIYの本場アメリカで年間売り上げ100億ドルを超え、電動工具以外にもさまざまな工作機械も手掛ける超大手企業、インガソール・ランドの定番電動ドライバー。
「このIQ V20シリーズはプロも使います。コードレスなのにパワフルで、電池も長寿命という基本スペックはもちろん、手元が暗くても安心な前面ライトや、4段階のトルク(締め付ける力加減)調整など、アメリカらしくない?(笑) 細かな配慮が家庭用にもいい感じなんです」。
「女性や子供も安心してトンカチできる」
PBスイスツールズ(スイス)
ハンマーを強く叩いたとき、衝撃で手がジーンと痛くなったり、最悪手から飛んで行ってしまう。家族の手前、そして安全のためにも、そんなリスクは避けたい。
PBスイスツールのハンマーはヘッドの中を左右に動く重りが入っており、「インパクトの瞬間の衝撃を反作用で打ち消してくれるので、誰でも安心して使える。しかも金属ヘッドと木の板などを叩くためのソフトヘッドの2-WAYという心遣いもニクいですよね」。
家族のためにも(自分のためにも)、一本持っておくと安心なハンマーなようだ。
「MotoGPが認めるガレージの“ポールポジション”」
ベータ(イタリア)
「実はこれ、MotoGPに参加する全チームに採用されている有名なツールボックスなんです」と樋口さんが語るこちらは、イタリアの総合工具メーカー、ベータのもの。
ブランドカラーである目を引くオレンジはガレージのアクセントにもバッチリ。使い勝手も考えられており、5つの異なるサイズのボックスで構成され、移動もラクなトロリータイプ、最上段のボックスと中段の黒い引き出しは取り外して単体でも使用可能だ。
「海外では人気ですが、まだ日本では流通が少ないんです。工具やガレージ好きの人なら100%喰いつきますよ」。これをガレージに置けば、車置いてけぼりで話題の主役になってしまいそうだ。
「見た目で選んで大正解な斧と鋸」
バーコ(スウェーデン)
バーコはモンキーレンチを世に生み出したことで有名なメーカー。しかし実は斧や鋸なども充実している。コンパクトな薪割り用斧は「サイズのわりに広めの刃渡りで、独特の柄の形状が握りやすく、1本目の斧としてはちょうどいい使いやすさです」という。
こちらの折りたたみ式の鋸も、折りたたむと230mmとコンパクトサイズながら、刃渡りは190mm。歯の部分には硬度のある特殊な鋼を使い、折り曲がりにくく力がなくても切りやすい、小さくて優秀な逸品。
「斧も鋸も、価格はフレンドリーですが精度は高いです。何より見た目が格好いいので、キャンプなどで使うにも最高ですね」。
手早くスマートに作業が終わるだけじゃなく、作ったものが家族の暮らしを楽しく豊かにしてくれてはじめてDIYは完成、と考えると、作業自体が楽しくなって仕上がりの質も上げてくれる正しい工具選びは、DIYを家族で楽しむために必須だと言えるのでは。
教えてくれた人ワールドインポートツールズ
店長 樋口 亮さん
この道25年以上。客層はプロが7割、一般の方が3割という
ワールドインポートツールズで、「すべての人に、しっかりとした知識と道具を選んで帰ってもらいたい」という想いで世界中の工具を揃える。最近はその評判を聞きつけ海外からの来店も増えたとか。『使える! 男の工具』(洋泉社)全面監修。
[ショップデータ]ワールドインポートツールズ住所:神奈川県横浜市都筑区荏田南1-17-4 電話番号:045-949-2451営業:12:00〜21:00、10:00〜19:00(日・祝日) 年中無休www.worldimporttools.co.jp 鳥居健次郎=撮影