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2019.03.13

かぞく

「考える力」を養うには「選択式クエッション」を。2歳半からできる子育てコーチング。

連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」vol.4
子供を持つ父親なら知っておきたいのが「子育てコーチング」という概念。子供の自主性や主体性を伸ばすと言われており、ママたちもこぞって学び子育てに取り入れているらしい。これは今すぐにオトーチャンも習得したい! ということで、『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』などの著者・熊野英一さんを講師に招き、オトーチャンのための特別子育てコーチング塾をスタート。

できることなら子供には、自分の人生を自分で拓ける人間になってもらいたい。そう願うのは親心だろう。では、そのために親ができることは何なのか。アドラーの心理学をもとにした子育てコーチングを伝える、熊野英一さんに教えてもらった。
2歳半から始められるコーチング

2歳~3歳になると言葉も少しずつ話せるようになり、会話も成り立つようになってくる。外の世界のいろんなものに興味を示すようになり、自分で物事を考える力や思考力もしっかり身に付いてくる頃だ。
と、同時に親の言うことをなかなか聞かなくなるため『魔の2歳』や、『イヤイヤ期』とも言われる時期でもある。
保育園に行く時間なのにお着替えをしようとしなかったり、親の言うことを聞かないシーンも多くなり、イライラしてしてしまうことも多いかもしれない。
だが多感なこの時期こそ「考える力」を伸ばすチャンスはたくさんあると熊野さんは言う。
「選択式クエッション」で投げかける

例えば、子供が「喉乾いたー」と言ったとき。あえてこんな質問に投げかけてみよう。
「りんごジュースとみかんジュースがあるけど、どっちがいい?」
「みかんー!」と言うのを聞いてコップに注いで渡すとしよう。だが飲み干さないうちに「やっぱりりんごがいい!」と駄々をこねる……なんてことはこの時期のあるあるだ。だが、そんなときこそチャンスなのだ。
「選択」することで自分の行動に責任を持つ

新しいジュースを与えるのは簡単だが、子育てコーチングでは、あえて質問を投げかけてみる。
「でも、○○ちゃんが”みかん”がいいって選んだんだよね。まだみかんジュース残ってるし、もったいないよね」。
このときはじめて子供ながらに「そうだ、自分がみかんを選んだのだった!」と考える。
そこで、「全部飲んだあと、もしもまだ喉が乾いてたら、もう一回選んでいいよー」。
ともう一度選択肢を与えると、今度は考えて選択することができるようになる。
なんでもない日常生活にこそ、選択式クエッションを投げかけて行くことで、「考える力」は自然と育って行くのだ。
選択すること=責任を持つこと

選択式クエッションは、大きくなった子供にも、もちろん使える。
例えば、自分から「やりたい!」と言った習い事をやめたいと言い出したときにも「せっかく始めたのにもったいない」「お金を出したのに身にならない」などと小言を言うよりも良い関わり方がある。
親にできることは「共感ファースト」のコミュニケーションで子供の意見に耳を傾け、あらゆる選択肢の可能性を示唆し、子供と一緒に考えることだ。
「辞める」にしても「辞めない」にしても「あと1カ月続けてみる」という選択を選んだとしても、自分の意思で決断する経験が何よりも大切なのだ。
そうすることで、自分の選択に責任を持つようになる。
忙しい日々こそ子供とのコミュニケーションをおざなりにせず、学びを与えられるチャンスがないかアンテナを張っていよう。
 
株式会社子育て支援 代表取締役
熊野英一さん
フランス・パリ生まれ。早稲田大学卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会 正会員。著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(ともに小学館クリエイティブ単行本)など。
連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」
前回の「子供は”マネの天才”?夫婦喧嘩をなくし、キレない子に育てる方法」を見る


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