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2019.03.06

かぞく

子供は“マネの天才”? 夫婦喧嘩をなくし、キレない子に育てる方法

連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」vol.2
子供を持つ父親なら知っておきたいのが「子育てコーチング」という概念。子供の自主性や主体性を伸ばすと言われており、ママたちもこぞって学び子育てに取り入れているらしい。これは今すぐにオトーチャンも習得したい! ということで、『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』などの著者・熊野英一さんを講師に招き、オトーチャンのための特別子育てコーチング塾をスタート。

前回は、子育てコーチングの基礎として「共感ファースト」のコミュニケーションが大切だと学んだ。
「『共感ファースト』を軸にしたコミュニケーション方法は、対子供だけでなく、対妻にもぜひ実践してみてほしい」。
そう語るのはアドラーの心理学を基にしたコーチングを伝える熊野英一さんだ。
 
子供は“マネの天才”。夫婦喧嘩もよく観察している

子供は親が思っている以上に、よく親を観察しているという。
「例えば夫婦喧嘩をしたときに、一方が感情的に怒ったりすると、子供は『あぁ、うまくいかないときにはこうして怒ったらいいんだ』と学んでしまうのです。そうすると、何か気に入らないことがあると駄々をこねたり、キレてしまうようになります」。
なるほど、子供は“マネの天才”だから夫婦喧嘩はご法度なのだ。そうは言っても、夫婦喧嘩をしてしまうときもある。では、何から始めればいいのだろうか。
 
「共感ファースト」の対話で、妻の本音に向き合うことからスタート

「妻が不機嫌になったりヒステリックになってしまうのには『もっとこうしてほしい』という思い抱いたまま、冷静に夫に気持ちを伝えられていないことに原因があります。夫もそんな妻の気持ちを汲み取ったり想像することができず、家庭が不穏に……」。
あるある、と頷いてしまうシチュエーションだが、どうすれば?
そんな不穏な空気を変えるためには、1日10分でいいので「共感ファースト」のコミュニケーションを実践してみるといいという。
例えば、残業で疲れて帰宅したとき。「今日ね、保育園でこんなことがあったんだよね、そういえばお隣のママ友がね……」と妻に話しかけられると、つい、「俺だって疲れてるんだよ。」と、顔に出してしまいがちだが、こんなときこそ「共感ファースト」を発動するときだという。
「共感ファースト」の最初のステップは、自分の意見は言わずに相手の意見に耳を傾けることだ。10分間「今日はどんなことがあったの? そのとき君はどう思ったの?」などと投げかけながら聞き役に徹することがポイントだと言う。
「本気で話を聞く姿勢を見せることで、妻は存在を認められたという気持ちになるんです。たった10分間の『共感ファースト』を実行するだけで、夫婦関係がうまく行くならいいでしょう?」と熊野さん。
そのあと、ビールを飲んでくつろいでいようが、スマホをいじっていようが、不思議と当たりが優しくなるとか。嘘だと思うなら、まずは実行してみてほしい。覚えておこう、まずは聴き上手になることだ。
子育ての方針に違いが出たときも「共感ファースト」で話し合おう

子育てをするうえで、夫婦で子育ての方針に違いが生じることはよくあることだ。だが、両親の方針に揺らぎが生じると子供も迷ってしまうもの。
私立 or 公立へ進学させる? 英会話 or 塾に行かせる? など夫婦の意見が二分したら、各々の経験と立場上の意見を話すことが大切だ。相手がコーチングを知らないのなら、まずは自分が聴き役となろう「なるほど、そう考えているんだね」と共感したうえで、自分の意見を話すことが大切だ。
意見に違いはあれ、夫婦には”子供にとって幸せな道は?”という共通のテーマがある。それを忘れて喧嘩になるのを防ぐためにも「共感ファースト」が必要なのだ。お互いの意見に冷静に耳を傾けることができれば、Aルートでやってみて、様子を見ながらBルートに変更するのもいいかもしれない、など妥協案も出てくるはずだ。
「妻がうるさいから従うしかない」「お金を出すのは夫だから何も言えない」と投げ出してしまうのは一番勿体無いことだと熊野さんは言う。
「共感ファースト」は夫婦間のあらゆる負の連鎖を断ち切ることができる方法だ。すぐに夫婦の関係を変えることはできないが、まずは1日10分の「共感ファースト」からはじめてみよう。少しずつ、効果を実感できるはずだ。
 
株式会社子育て支援 代表取締役
熊野英一さん
フランス・パリ生まれ。早稲田大学卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会 正会員。著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(ともに小学館クリエイティブ単行本)など。
連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」
第1回「トホホ……なオトーチャン脱却! アドラー心理学で子育てコーチングパパに


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