それぞれのブランドが掲げる、最も大切な戦略のひとつが革新性。新しいテクノロジーの開発だ。スニーカーなら、履く人がより高いパフォーマンスを発揮する機能を提供するのが使命となる。志の高い各社が凌ぎを削り、切磋琢磨して手にした技術を知れば、もっとスニーカーが好きになる。
MIZUNO ミズノ
【MODEL】左からrhrn(アールエイチアールエヌ)、aaab(アーブ)
[アールエイチアールエヌ]
ヘタリの原因、スポンジをなくして長寿命を実現【TECHNOLOGY】インフィニティウエーブ
優れたクッション性、安定性、反発性で、20年以上にわたり、アスリートの足元を支えてきた独自の波形形状プレート「ミズノウエーブ」。それを基礎から進化させたのが、ミッドソールを硬質なプレート2枚だけで形成した「インフィニティウエーブ」だ。
耐久性があり左右方向へのグラつきを解消、垂直方向の衝撃には2枚の波形プレートがバネのように体を支え、高いクッション性を発揮する。極め付きはミッドソールのヘタり(=クッション性の低下)の原因となっていたスポンジを極限まで取り除くことで、驚きの長寿命を実現している点である。また、身体構造に基づいた形状のヒールカップと立体的に編み上げられたソックデザインのニットアッパーがシューズとの一体感を向上させる。近未来的な見た目もグッド!
[アーブ]
ソールの横幅を自由に調整できる革新的シューズ【TECHNOLOGY】ソール横幅調整機能足幅のサイズは、時間帯やコンディションなどに応じて日々変化している。しかし、今まではウィズ展開されたシューズを選び、シューレースでフィッティングを調整するくらいしか対応方法がなかった。しかし、このaaabは、ソール外側部のネジによって横方向に開閉する新機構を採用(写真参照)。
ソールの横幅を2Eから6Eまでをミリ単位でいつでも、どこでも調整することが可能という、従来のシューズフィッティングの概念を覆す革新的なシューズとなっている。アッパーを左右に走るオレンジラインがその機能性を表し、見た目のアクセントにも。また、シュータンとアッパーが一体となったブーティ構造でより高いフィット感を実現している。
ADIDAS アディダス
【MODEL】ウルトラブースト 19
長い期間、衝撃吸収性と反発力を発揮する
【TECHNOLOGY】オプティマイズド ブースト フォーム衝撃吸収性と反発力という相反する要素を高次元で両立させた、ミッドソール素材「ブースト フォーム」。これは従来のEVA素材に比べて、気温や環境による影響を受けにくく、より長い期間、優れたその効力を発揮する画期的な素材。そして、このフォームを従来のウルトラブーストと比べ20%増量し、かつてない反発力と軽量化を実現したミッドソールが、本作に搭載される「オプティマイズド ブースト フォーム」である。
さらに本作では、そのフォーム内に「トルションスプリング」と呼ばれる(前足部から後足部へ伸びる)パーツをこれまでよりも長くデザインして組み込んだ。着地するたびにこれがミッドソールと連動し、ランナーが次の一歩を蹴り出す際の大きな推進力へと変えてくれるのだ。
ANOTHER TECHNOLOGY樹脂を光反応させる3Dプリンティング技術最先端の3Dプリンティング技術によって生まれた革新的ミッドソール「アディダス 4D」。着地するたびにこの細かく入り組んだグリッド構造がバネの役目を果たして驚きの推進力を発揮する。また、着地の衝撃を分散したり、足をシューズ中央に固定して横方向への動きもブレないように正確にサポートする。
フットウェアパーツのデジタル製造が実現したことにより、圧倒的な製造スピードに加え、複雑に入り組んだデザインも可能になった。将来的には個人データを基にして、安定性や快適性など人それぞれのオーダーに応えることも可能となる。残念ながら本作、アルファエッジ 4Dは既に完売。次の新作を待たれよ。
鈴木泰之=写真 谷中龍太郎=文