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借金4000万……絶望の淵でみたもの

しかし熱心な“自己投資”は、いつしか度を越えたものとなっていた。
「セミナーのためだけに毎週地方に行ったりしていたので、どんどん借金が増えていきました。でも自分は日々成長しているし、努力もしてるから、借金まみれになってもすぐ巻き返せる……。そう高をくくっているうちに借金が4000万を越えていたんです」。
金利によって膨れ上がった借金は、到底返せる額ではなくなっていた。仕事に本腰を入れるも、焦りに駆られて成績は落ちていった。成功を目指していたはずが…… 26歳だった青野さんは絶望した。
「地道に返す計算をしたら、完済できるのは70歳。電気も止められ、お風呂も入れず……。もう死んだほうがいいやと思いました」。
自殺場所に選んだのは、小6まで家族で過ごした団地だった。しかし死の直前、走馬灯を見たことで踏みとどまったという。
「浮かんできたのは、お客さんへの感謝が足りなかったことや自分のためにしか行動してこなかった…… そんなダサい生き方をしてきた自分のことばかりで、改めて自分は正真正銘のクズだと感じました。なぜもっと人のために行動できなかったんだろうと。そんなとき、死んだつもりで、もう一度やり直そうと思いました。私なりのやり方で、人のために生きていこうと思ったんです」。
結局あの世には金も名誉も高価な買い物の数々も、持っていけない。あるのはただ、ダサいか、カッコイイ生き方をした自分だけ。自殺を思いとどまった青野さんは、今後はお金ではなく、自分のなかの“カッコイイ”生き方を目指そうと決意した。


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