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ヤンキーやひきこもりを集めた会社を起業

ダサいことはやめて格好良く生きる。そんな想いのもと青野さんが始めたのは、人助け。周囲のヤンキーや引きこもりを更生していくことだった。家庭環境に問題があると感じれば遠慮なく家に乗り込んで話をした。次第に青野さんのもとにはヤンキーや引きこもりなど問題のある若者が集うようになったという。

「その中のひとりに『青野さんが社長になってくれれば、僕らはクビにならないのにね』って言われて、確かにそれはそうだと感じたんですよ。それが会社設立のきっかけになりました」。
2006年、28歳で起業。営業力に長けたヤンキーと、パソコンの知識を持つ引きこもり。彼らの特性を考えた結果がIT事業だった。結果的に、人のために行動することは、青野さんの人生の幸福感も増やすこととなった。
「カッコイイを追求して生きると、自分のことが好きになれるんですよ。それが自信にも繫がるし、人も自然と集まるようになる。カッコイイの定義は人それぞれですが、人のために生きれば幸せになれるということがわかったんです」。
フリースタイルを創業して、はや12年。多くの若者を立派な社会人に育て上げた一方で、悔しい思いも少なからず経験してきている。
「最初は人を変えたい、と思ったけど、人はそう簡単には変われない。稼ぐ知識だけを盗んで、僕のもとを去っていった人間もたくさんいます。結局、自分自身で変わるしかない。悩んだ時期もあったけど、そもそも人を変える…… それ自体が傲慢な考えだったと最近は気づきました」。
それでも、自身の思う“カッコイイ”の追求をやめたわけではない。
「世のため人のために。そう願っても、必ずしもすべてが良い結果に繫がるわけではないかもしれない。それでも僕は、お金や欲望や周りの価値観で目標を設定するのではなく、自分のカッコイイ”を目指して生きていきたいと思っています」。
人生の正解はなかなか見つからない。それでも、カッコイイ生き方を続ければ、少なくとも自分を好きでいられる。自分自身に恥じない生き方を。青野さんは次に見る走馬灯が、自身の“カッコイイ”で溢れていることを願っている。

藤野ゆり(清談社)=取材・文


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