OCEANS

SHARE

分与額は100万円以下が最多
とはいっても、具体的にどれくらいのお金が必要になるのか……。参考までに平成29年に調停によって財産分与の取り決めをした夫婦の“相場”を見てみると、7684件のうち最も多いのが100万年以下の分与にまとまったケースで1830件だった。続いて多かったのが総額が決まらず算定不能となったケース(1595件)。続いて、200万円以下(895件)、400万円以下(870件)、600万円以下(556件)、1000万円以下(739件)、2000万円超(271件)という内訳となっている。
「平成29年度『離婚』の調停成立又は調停に代わる審判事件数―財産分与の支払額別婚姻期間別―全家庭裁判所」より )
ケースバイケースとはいえ、裏を返せば“夫婦が持つ財産”の多くが、200万円以下の価値であるということがわかる。とはいえ、離婚後にどちらかの生活が困窮する場合は、安定を手助けするために「扶養的財産分与」を支払うことが必要になるケースもある。
「扶養的財産分与」にどう向き合うか
一般的に「扶養的財産分与」は収入が多い方が少ない方を援助するのだが、法的な規定は無い。いくら補助するか、いつまで補助するのかも当事者同士で決めることになる。
むむ、これはなんだか厄介そうだ。高橋さんに「扶養的財産分与」の実情を伺ってみると……
「扶養的財産分与として収入が少ない妻側に夫が、1〜2年援助するケースが多いですね。そこで揉めるケースはあまり多くはありませんね。清算的財産分与の上にプラスでもらうのですから。個人的には、出来る事なら女性にもかっこよく生きてほしいんです。あまり欲張らず、感謝する心を忘れずに」。
との答えが返ってきた。だが、それはもちろん男性側にもいえること。離婚することでかつてのパートナーが困るのであれば、潔くお金を払う。すべてのケースにいえることではないにせよ、幸せな離婚を目指すのであれば、男らしく多めに払うくらいの甲斐性は持ちたいものである。
夫婦問題カウンセラー&ライフサポートアドバイザー
高橋知子さん
高橋 知子yokohama相談室」主催。離婚を考えている、離婚を回避したい、調停申立をされた、浮気問題に悩んでいる、夫婦の関係修復を試みたいなど、あらゆる夫婦問題のカウンセリングを行う。専門家との連携による万全のネットワーク体制で相談者を完全サポート。相談者の気持ちに寄り添ったカウンセリングが好評で年間1000件以上のカウンセリング実績を持つ。
吉々是良=取材・文 石井あかね=イラスト


SHARE

次の記事を読み込んでいます。