二十歳までの引きこもり期間に感じたこと
優等生だった息子が突如として学校に行かなくなった。6年間の引きこもり期間中、両親との衝突は避けられなかった。社会との隔絶感などに苛まれ、もともと神経症気味だった彼の症状は悪化していった。
近所のコンビニでバイトをしてみた時期もあったが、人目が気になって続けることは難しかった。少し働いてみてはひきこもりに逆戻り。自信を失い、人と話すことや目を合わすことすら怖くなり、対人恐怖症のようになったという。しかし、現在のようにネットも発達していない時代。いったい、どのように毎日を過ごしていたのか。
「ラジオ聞いたり本読んでぼーっとしてたり、引きこもってるせいで体が真っ白だったんでパンツ一丁で屋根の上で日光浴したり(笑)。相当、ご近所さんからは奇異な目で見られてましたね。あとは自分の心のなかをつらつらとノートに思いっきりぶつけてました。日記とも言えないようなものですが」。
そんな20歳までの引きこもりの期間を一切の躊躇もせず「ムダな6年間だった」と切り捨てる。そこには彼なりの考えがあるようで……。
後編に続く
冨田千晴=撮影 藤野ゆり(清談社)=取材・文