自身のセンスをクリエイションに反映する男は、この冬どんなファッションに身を包むのか? どんな視点でニッポンを楽しんだのか? 我々の感性を刺激してくれるに違いない来日中の5人のキーマンに突撃!
ピルグリム サーフ+サプライ ファウンダー
クリス・ジェンティールさん Age 45
「着る服は圧倒的にダークトーンが多いです。あとは自分のブランド以外の友人が手掛けたものやヴィンテージなどをミックスすることを心がけていますね」。シンプルな装いの中に変化を加えるというこだわりを教えてくれたクリスさん。自身の新作であるダウンジャケットを着て登場した彼は自他ともに認める親日家。ファッション観を広げてくれるという日本のアパレルショップは常にチェック。
また、「自国では食べられないものがたくさんあって、毎回来日が楽しみだね。いつも行く東京・目黒のカビは世界一のレストランだと思うし、川端康成や三島由紀夫といった文豪が愛用した御茶ノ水にある山の上ホテルにも興味があるんだ」とも。幅の広い好奇心がまた、彼の作る洋服を刺激的なものにしてくれるに違いない。
クリスさんの日本プチ滞在記仕事道具を常備してニッポンのショップ巡りブルーラグのバッグには、水筒や被り物などに加え、デルフォニックスのノートなど仕事道具を常備。アイデアを書き留めておくようだ。
世界イチと絶賛のレストランは欠かさず来訪
発酵をテーマにしたレストラン「カビ」は今回も訪問。ナチュラルワインが豊富なのもお気に入りだ。
アークティック エクスプローラー CEO
アナトリー・ツォイルさん
2013年に生まれたアークティック エクスプローラーは、ロシア発のダウンウェアブランド。ブランドを取り仕切るアナトリーさんももちろん、そんな極寒の地が故郷だ。「ロシアだとだいたい10月中旬からみんなダウンを着始めて、そこから半年は欠かせなくなるんだ」。
取材日に着ていた鮮やかなレッドのダウンジャケットは、摩擦に強いシェルを採用したブランドの定番モデル「チル」。ジャストサイズをシンプルに着るのがアナトリー流だ。首元までしっかり覆ってくれるマフラー要らずのつくりで、ポケットが多くて荷物が全部収まる。
「だってバッグを持ってたらガールフレンドを抱きしめられないじゃないか(笑)」。もちろんジョークで、実際には愛妻家で子煩悩。娘さんは日本語を勉強中なのだそう。「でも僕が特に好きなのは懐石料理。あれは本当にアートだよ。食べるのがもったいないくらいにね」。
アナトリーさんの日本プチ滞在記ビジネスパートナーとともに神社でMake A Wish!
東京・青山でふと見つけた大松稲荷神社でお参りを。こちらの女性はビジネスパートナーであるブランドオーナーのクセニヤさんだ。
日本の伝統に触れるべく一路、浅草へ5度目の来日となる彼にとっても下町は刺激的だったもよう。建築家・隈研吾さんが手掛けた浅草文化観光センターをパシャリ。
ニード・サプライ クリエイティブディレクター
ゲイブリエル・リチョッポさん Age 43
「このOAMCのパンツがすごく気に入ってるんだけど、厚手だから僕の住んでるLAじゃ暑くて着る機会が全然ない。今回の旅ではけてうれしいよ(笑)」。
アメリカのセレクトショップ、ニード・サプライの東京店3周年で来日したクリエイティブディレクターのゲイブリエルさん。この日着用したのもアニバーサリーを記念して作られたジャケットだ。黒が基調のカジュアル&ミニマルな着こなしはストリートカルチャーに触れて育ち、モードに精通する彼ならでは。
「日本に行くときはできるだけ現地で必要なものを買うようにしてるんだ。このポーターのタンカーのバッグも昔日本で買ったヤツだよ」。今回の来日では初めて京都・大阪にも訪れ、特に京都の歴史や寺院にはいたく感動したもよう。「あと、今回知ったのは日本はピザが美味しく、世界レベルの名店がたくさんあるということ。食べ比べを楽しんだよ!」。
来日の目的がまたひとつ増えたようだ。
ゲイブリエルさんの日本プチ滞在記来日時の荷物は必要最小限に留める!コンタックスのカメラ「T2」やNYのレストランのロゴ入りペンを愛用中。ゴヤールのカードケースは妻からプレゼントされたものだ。
トラックファニチャーに念願かなって初訪問!
以前から写真では知っていた大阪の人気家具店、トラックを初訪問。オーナーの黄瀬さん(写真奥)ともハングアウトしてご満悦。
イラストレーター
ジョナス・クレアッソンさん Age 37
スウェーデンで生まれ育ち、現在はオーストラリアを拠点に活動するジョナスさんはパタゴニアをはじめとするさまざまなブランドにイラストやアートワークを提供してきたアーティスト。彼が2019春夏より展開するのが、自身の名を冠したクロージングブランドだ。
「ストリートカルチャーも好きだけど、派手で装飾的な格好は趣味じゃないんだ。それよりも長く着られる服を作りたいと思っているよ」と話すとおり、その内容は、普遍的なカジュアルウェアに、少しだけヒネリを利かせたものが多い。取材時に着用していたグレーのパーカはそのひとつで、動物のワンポイントは自然を愛する彼らしいアイデアだ。
「日本は景色のいい場所がたくさんあって、もう何度も来てるよ。この前は富士山も描いたんだ」。そんな自然をアウトプットしたイラストはインスタグラム(@jonas_draws)でも公開中。ジョナスさんの繊細な感性が感じられるに違いない。
ジョナスさんの日本プチ滞在記絵が浮かんだときのためにバッグには画材が使い込まれたパレットには多色の絵具が。旅先や道中でインスピレーションを得たら、ここに水を加えてすぐにキャンバスへ描く。
サーフィンはライフワークのひとつ
その焼けた肌が示すとおり、海が大好き。旅すがら世界各地で波に乗り、日本では宮崎・日向の波と人、食べ物がお気に入りだ。
次の来日の目的はバックカントリー
今回も楽しんだ人気スポット・北海道のバックカントリーでのスノーボード。
T·S·O·G クリエイティブディレクター
カルロス・ズニーガさん Age 37
2018年秋に日本初上陸を果たしたT・S・O・Gは、’15年にアメリカで設立されたモダンなバッグブランドだ。持ちやすいシンプルなデザインながら、ユニークな綿織物の持ち手を採用したりとスパイスを加えた、ファッションと親和性の高いデザインに定評がある。
「服を着替える感覚でバッグを持ち替えてほしい。つまりコーディネイトの一部としてのバッグを提案しているんです」。そう語るクリエイティブディレクターのカルロスさんは、世界各地を旅することで創作のインスピレーションを得ているという。
「昔から日本のカルチャーにすごく影響を受けているんだ。今日の着こなしはミニマルな色使いでまとめてみた。東京の街並みにトーンを合わせたんだけど、わかるかな(笑)」。
カルロスさんの日本プチ滞在記撮影用ガジェットは旅の最重要アイテムカバンの中には旅を記録し仕事に活かすための必需品であるスマートフォン、ソニーの一眼レフカメラ、GoProなどを持ち歩く。
街の色彩が創作のヒントに。いつか祇園も!?
その土地が持つ匂いや文化は、カルロスさんのデザインに色濃く反映されている。写真は息子と祇園を訪ねたときの様子。