連載「キャンプは、冬がいい。」
アウトドア・ラバー諸君、キャンプは夏のレジャーだと思っていないか? 玄人たちは、口を揃えてこう言うものだ。「キャンプは、冬がいい」。極寒の世界で特別なレジャーに挑んでみよう。
体の温まるグルメ(
連載5回参照)を堪能したら、暖かさが恋しくなる。それもそのはず、ここは零下の世界。日も落ちると急激に体温を奪っていく。テント内でぬくぬくしたい……という気持ちは否めない。でも、ちょっと待ってほしい。もちろん無理は禁物だけど、せっかくならキャンプの楽しみを味わい尽くしてみよう。
焚き火の醍醐味は、やはり夜。薪の爆ぜる音が辺りに響く
スノーキャンプの夜は長い。1月下旬の取材当日、北軽井沢スウィートグラスの日没は17:00。日の出は7:00だというから、ゆうに14時間もある。雪上の夜を堪能できる体制を整えて、贅沢な時間を過ごしたい。
そのためには、まず焚き火だ。キャンプ場に備えてある薪小屋を訪れて薪選び。薪は大きく2種類に分けられる。火つきがよく、火力が強く、調理に向く「針葉樹」と、火持ちがよく、暖房に向く「広葉樹」だ。
着火しやすい針葉樹に加え、メインとなる広葉樹を多めに用意。テントまでの道のりは寒いけれど、焚き火の暖かさをイメージすると、自然と足取りが軽くなる。周囲ではすでにテント内にこもっている人が多いのか、辺りは静寂に包まれていた。
晩メシで使った炭火を火種として、細木に火を移す、その後に針葉樹の薪に着火しはじめたら、その上に広葉樹をくべる。徐々に紅い火が広がりはじめ、パチパチと勢いよく燃えだした。
焚き火のお供にホットワイン。ラムを足してオトナ味に
火が大きくなるまでの間を利用して、ホットドリンクも作ってみよう。
連載5回でも紹介したが、食べ物には体を温めるものを選びたい。そこでホットワインの登場だ。赤ワインに含まれるポリフェノールは血行を促進してくれる。そのまま温めても十分だが、ここでひと手間を。“桂皮”とも呼ばれ、温体効果のあるシナモンスティック、甘みを足すママレードジャム、そしてラム酒をひと匙プラスする。
スノーキャンプ6-1
材料
ホットワイン用に買い込んだ材料。シナモンスティックも大きめのスーパーならば簡単に手に入る。
シナモンスティック
大胆に1本ドボン!スティックは入れず、スプーン代わりにしてワインをかき混ぜながら頂いてもいい。
ホットワインの完成
ホットワインが完成。雪の降るなかのホットワインは寒い体に沁みる。
焚き火に当たりながら、ホットワインを口にするひと時は、至福以外の何物でもない。木々が風に揺れる山の気配を感じながら、焚き火の1/fの揺らぎが心を癒してくれる。
体がポカポカ温まったら、澄んだ星空を観察
冬キャンプの醍醐味のひとつは、澄んだ空気だ。夏より一層きれいな星空を眺めることができる。暗がりに入らずとも、月と星が煌々と輝いている様子を望めるのだ。
裸眼でぼんやり眺めるのもいいが、この日はヴィクセンの双眼鏡を準備。奇しくもこの日は、スーパームーン。いつもよりもさらに大きな月を堪能することができた。2月なら、オリオン座の一等星ベルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスが形作る「冬の大三角」が21:00〜22:00頃に南の空に上る。ちょっとした知識をもっておくだけで、楽しみがより深まる。
静寂の中で過ごす、スノーキャンプ。防寒を万全にすれば、これほど贅沢な時間はないだろう。
さて、連載の次回はちょっと番外編。早朝のアソビに向かう前に、零下の環境を利用した実験を行なってみた。それはアイスクリーム作り。冬キャンプでしか体験できない実験の結果やいかに? 待て、次回!
>1回「
スノーキャンプの魅力と注意点」を読む
>2回「
防寒着とギア選び」を読む
>3回「
スノーキャンプのテント設営」を読む
>4回「
雪山のアニマルハント」を読む
>5回「
丸鶏&生姜スープの誘惑」を読む
【取材協力】
北軽井沢スウィートグラス
住所:群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1990-579
電話番号:0279-84-2512(予約センター)※水曜定休
※営業時間・定休は季節により変更
https://sweetgrass.jp澤田聖司=撮影 芋川 健=取材・文