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調停離婚、裁判離婚に至るケースとは
だが、夫婦間の話し合いだけで協議離婚がまとまらなかった場合は離婚調停を申し立て、②調停離婚に向けてのプロセスを踏むことになる。そもそも夫婦間で揉めているときに公正証書を作ったり、ふたり揃って公証役場に来訪するのは難しい場合も多い。そんなときのためにも調停離婚という選択肢がある。
具体的には、家庭裁判所へ離婚調停の申し立てを行い、調停員などの第三者を交えた非公開の協議を行い、離婚の道筋を立てることになる。その際に作成される調停調書は、公正証書同様に強制執行力を持つことも覚えておきたい。
大半の離婚は調停までで決着がつくというが、話がもつれて終わるといよいよ③裁判離婚が視野に入ってしまう。高橋さんによると裁判離婚にかかる費用は、ほとんどが弁護士費用で着手金と報酬金を含めると80~100万円くらいは見ておく必要が出てくるという。
とはいえ裁判にまでもつれこむのは、調停で互いの主張が折り合わず、どこまで話し合っても平行線だと家庭裁判所が判断したケースに限られる。また、裁判を申し立てるには裁判所が認めた離婚理由がなければ申し立ては出来ない。単純に価値観の相違や性格の不一致だけでは無理である。実際に、裁判離婚に至るのは離婚件数全体のごくわずかに過ぎない。

幸せな離婚のためには別れ際が大事

「私の経験上ですが、男性は『別れた相手にも幸せになってほしい』と離婚後も気にかける傾向が強いように思えます。そのため、離婚の際にも、情厚く、援助できるならしたいという方も多いですね」。
と高橋さん。一度湧いた情がなかなか払拭できない……というのは男の心情なのかも? その気持ちは大切にしつつ、押さえておきたい3つのことがあるという。
■幸せな離婚に向けた3つのプロセス
・調停離婚にもつれこむ前に、夫婦で話し合いを重ねる努力をすること
・手続きが面倒でも必要な場合は、公正証書をきちんと作成すること
・可能であれば金銭面でも、相手の状況を配慮した行動に出ること
離婚後、後腐れなきようにするために必要なプロセスなのだ。その上で別れ際を迎えることは、幸せな離婚へつながると言えるだろう。
しばしば離婚を“紙切れ一枚で済む”と表現することもあるけれど、実際そこに至るまでの道のりは容易ではない。離婚という結論に至った日には、双方の理解と納得のうえ、互いに幸せを掴みたいものである。
吉々是良=取材・文 石井あかね=イラスト
夫婦問題カウンセラー&ライフサポートアドバイザー
高橋知子さん
高橋 知子yokohama相談室」主催。離婚を考えている、離婚を回避したい、調停申立をされた、浮気問題に悩んでいる、夫婦の関係修復を試みたいなど、あらゆる夫婦問題のカウンセリングを行う。専門家との連携による万全のネットワーク体制で相談者を完全サポート。相談者の気持ちに寄り添ったカウンセリングが好評で年間1000件以上のカウンセリング実績を持つ。


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