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コシャリは作れる。しかし、どう食べてもらう?
サラリーマン時代は、マーケットのニーズやトレンドを読み取り、実際に顧客とも話をしながら製品を開発し、売り込むということを行なってきた。当然、会社が後ろ盾となり、ものがひとつも売れない開発期間にもちゃんと給料は出る。
でも、コシャリに関してはとにかくまず「自分がエジプトで食べた味の再現」に全力投球。完成にたどりついても、それが誰にどんなふうに売れるかわからなかった。そこで、ひとまず大学の文化祭でコシャリのお店を出す計画を立てた。
「こういうよく知られていないような食べ物だったら、きっと若い人のほうが刺さるだろうなって思ったのと、あと、普段触れるようなものではないので、非日常な場所に合うんじゃないかと仮説を立てて、まず学園祭で実験してみて、本格的に開業したらいろいろな大学で展開しようと。それでまずいくつかの大学に行って、学生さんに声をかけました」。
え?
「“いきなりゴメンなー”って。“今度ここの文化祭で、こういうお店を出したいんやけど協力してくれへん?”って(笑)。要はその子の名前を借りて、模擬店というかたちでコシャリを売ろうとしたんです……いきなり知らんおっさんが現れて“模擬店出したいから名前貸せ”って言うわ、売るものもようわからん『コシャリ』とかいうエジプトの食べ物やわ……そんなヤツにホント、学生さんたちよく協力してくれたと思います(笑)」。
結局、9月〜11月にかけて5つの大学への出店に成功。だが、コシャリの若者たちへのアプローチは失敗。フタを開けてみると、実際に興味を示して買ってくれたのはほとんどが先生や職員。お客さんの年齢層のコアは30〜40代だった。
「むしろ、ターゲットはそっちの年代だな、ということがわかってきました。だから出店するのも大学ではなく、30〜40代の人たちが集まるような場所を探すべきだと考えるようになりました」。


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