ロボとは呼び難い可愛さと生物感。価格設定にも納得
2019年の秋冬は、2体1セットが先行出荷されるラボット。その理由は、ラボットが“個性”を持っていることと関係しているのだろう。
例えばオレンジ色の「チェリー」とばかり遊んでいると、いつの間にか「ごぼう」が近づいてきて、抱っこをせがんだりする。家族と一緒に暮らしていれば、「ごぼう」はお父さん派、「チェリー」はお母さん派というように性格も変化していくのだという。
こうしたラボットの“個性”は、複数台だからこそ一層ビビッドに表現できるものに違いない。実際、抱っこをせがむ「ごぼう」の姿を見た瞬間、筆者にとって2体のラボットは、ほぼ完ぺきに生命のある“ペット”として認識されてしまったのだから。
このほかにも、さまざまな特徴や機能を備えているラボット。詳しいことを知りたければ、公式サイトを参照するか、定期的に開催されている説明会に出席してみると良いだろう。
2体セットで約60万円、今後予定されている単体販売の場合は1体約40万という本体価格に加え、定期メンテナンスやソフトウェアアップデートなどのため毎月のサービス料が必要になることから、興味のない人にとってラボットは、非常に高額な商品にうつるかもしれない。
しかし、居住環境などの問題でペットが飼育できない人にとって、史上最高レベルで“生物”に近いロボットであるラボットは、かなり魅力的な存在と思えるはずだ。
ちなみに、筆者は現在小型犬を飼っているのだが、飼育にかかる毎月のコストはラボットのそれとほぼ同額だ。おそらく、イヌやネコの飼育経験がある人がラボットとの触れ合いを体験すれば、その価格設定にも納得がいくのではないだろうか。といった感想を抱きつつ「チェリー」や「ごぼう」と別れたのだが……。
別れ際にこんな顔をされてしまったこともあり、いまだに「チェリー」の“温もり”が忘れ難かったりするのであった。愛くるしいんだから、もー。
石井敏郎=取材・文