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アーユルヴェーダで1人でも気分を良くできたら

そもそもアーユルヴェーダ、普通のオイルマッサージのようなものをイメージしているとしたら大きな間違い。
「アーユルヴェーダはインド発祥の世界最古の伝統医療で体を整えることを目的としたもの。最初にカウンセリングを行い、その人に適したオイルを使って、トリートメントを行います」。
特徴はなんといってもオイルだ。マッサージで使用するオイルはベースの精油に、香りづけでアロマを加えたものが一般的だが、アーユルヴェーダの場合、使用するオイルはごま油。そこに薬草をいくつも重ね、数日かけて精製したオイルを使用するという。
「ごま油には抗酸化作用があるので、アンチエイジングや疲労回復などにオススメ。マッサージだけじゃなく、食生活や日々の生活習慣などをカウンセリングから見直すことも、アーユルヴェーダのひとつです」。
1人ひとりの体質や症状に合った的確なサービスを提供する。それはCA時代に人を見極め、接客を行う感覚に似ていた。しかし、サロン開業から2年経った今も、経営に関しては課題が山積みだという。
「オイルをふんだんに使用し、シャワーで流す時間なども含まれるため、アーユルヴェーダのコースは基本的に3時間前後かかります。準備や片付けを含めると1人施術するのに5時間ほど要するので、1日に2組施術するので手いっぱい。正直、今のやり方では経営者としては0点ですね(笑)」。
時間とコストがかかるうえに、日本で一般的ではないアーユルヴェーダは集客もハードルが高い。だからこそ、なかなかアーユルヴェーダサロンに手を出す人は少ないのだ。それでも市原さんが今の仕事を続けていられるのはなぜなのか。
「CA時代も現在も共通しているのは、人と触れ合う仕事がしたいということ。自分のサービスで満足してもらえたり、誰かの気分が良くなってもらえるのが嬉しいんです」。
たとえば、アーユルヴェーダの施術を受けたお客さんがレビューを書いてくれたとき。それはCA時代、搭乗後のアンケートにサービスへの賛辞と共に自分の名前を上げてもらえたときのような、やりがいや喜びがあるという。
「自分が自信を持って接客できたとしても、本音のところでお客様がどう思ってるかまではわからない。だからそういった反応をもらえるだけで、すこし心と心が通い合ったような気がして幸せな気持ちになるんです」。
そう語る市原さんの穏やかな声音は、子守唄のように心地よい。人をリラックスさせる術を知っている人なのだ。誰かを喜ばせることが自分の充実感に繫がる。それを知っている市原さんの施術は、特別な癒しを与えてくれるに違いない。
【取材協力】
アーユルヴェーダサロン ウパスティティ
https://ayurvedic-salon-upasthiti.com/
藤野ゆり(清談社)=取材・文

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