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予測③東京五輪出場枠を賭けた選手同士の戦いが始まる!

最後はやはり東京オリンピックの話題で締めよう。大会まであと1年。となると、注目が集まるのは本格化してくる各競技のオリンピック出場を巡る戦いである。今回は自国開催のため開催国枠が設けられる競技も多いが、その枠を巡る国内選手たちの争いは激しく、厳しい。
2018年10月7日、シカゴマラソンへ出場し、2時間05分50秒(3位)の日本新記録でゴールした大迫傑選手。©EKIDEN News
なかでも俄然おもしろくなってきたのが男子マラソンだ。長く更新されることのなかった日本記録を、昨年2月の東京マラソンで設楽悠太が2時間6分11秒という記録で16年ぶりに破ると、今度は10月に大迫傑がシカゴマラソンで3位入賞して設楽の記録を更新。日本人初となる2時間5分台、2時間5分50秒という記録をマークした。
長く停滞していた日本の男子マラソンが新しい時代へと入ってきた予感。ちなみに大迫が所属する「ナイキ・オレゴン・プロジェクト」はナイキがアメリカで展開している陸上競技チーム。大迫が「海外拠点」選手であることは興味深い。
そんな進化するランナーたちが、東京オリンピック代表3枠を目指してしのぎを削るのが2019年だ。
これまでマラソンのオリンピック代表選手選考は基準が曖昧だと物議を醸すことも多かったが、東京オリンピックからは新たな選考方法が実施される。2019年9月15日(日)に東京オリンピックとほぼ同じコースで開催される「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)で優勝すれば即代表内定となるのだ。
さらに2位、3位のうち、「MGC派遣設定記録」を突破した最上位者も2枠目の代表に内定。「MGC派遣設定記録」突破者がいない場合は2位の選手が自動的に内定する。つまり「選考レース」が行われるのである。このMGCに出場できるのは、2017年〜2018年、2018年〜2019年の2シーズンの定められた国内大会および2019年4月30日(火)までの国際陸連公認大会で出場条件を満たす成績を残した選手。その戦いも注目である。
また、残り1枠は「MGCファイナルチャレンジ」と名付けられた2019年冬〜2020年春の対象国内大会で、上記同様、派遣設定記録を突破した記録最上位者が内定となっている(条件を満たす選手がいない場合、MGS2位または3位の選手が内定)。
過去の代表選手選考に比べ、非常に透明性が高く、また一発勝負という要素もある選考方法。レースの注目度、熱度の高さは言うまでもない。
 
さまざまなドラマ、歴史的瞬間が生まれそうな2019年のスポーツ界。アスリートたちの人生を懸けた挑戦は、観戦する我々にも勇気と感銘を与えてくれることは間違いない。その戦いをぜひ楽しみに待っていてほしい。
 
田澤健一郎(たざわ・けんいちろう)
1975年生まれ、山形県出身。大学卒業後、 出版社勤務を経てライターに。スポーツのほか歴史や建築・ 住宅の分野で活動中。共著に『永遠の一球』(河出書房新社) など。


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