彼女が「親方さん」「女将さん」と呼んで慕っている夫妻にも話を聞こう。
「風ちゃん? 本当にいい子ですよ」。「とにかく言葉遣いが丁寧。初日に賄いを食べた後も『このお忙しい中、作っていただいてありがとうございました』って言うのよ。もう、感動しちゃった」
親方さん、いかがですか?こちらは「いいところかあ。かわいいことだけだよ」と照れる。ここで女将さんが「風ちゃん、遅刻勘違い事件の話をしたら?」と振ってきた。
「あ、こないだ目が覚めたらバイトが始まる10分前で。やばいと思って女将さんの携帯とお店の電話に掛けたんですが出なくて、とりあえず電車に乗って向かいました」
しかし、電車内で風歌さんは乗客が皆眠そうなことに気づく。そう、朝の5時50分だったのだ。女将さんは「携帯に着信履歴がいっぱいあって何事かと思いました」と笑う。
この日はお2人の娘さん夫妻も飲みに来ていた。
娘さんとは一緒にお笑いライブに行く仲。壁に飾られているスケッチが気になったので風歌さんに聞くと、「高田先生という建築家のお客さんの作品です。今、私の絵を描いていると言っていたから完成が楽しみ」。
近日中に看板娘の似顔絵も飾られるのだろうか。さて、本日もご馳走様でした。「またいらっしゃってください」と丁寧な言葉遣いで見送ってくれた風歌さんに、こちらも丁寧にお礼を言った。
読者へのメッセージをお願いしますね。そこには、赤ちゃんに魚(とと)がキスをするという愛に満ちたイラストが添えられていた。
メッセージもやはり丁寧。【取材協力】 魚々楽(ととらく)住所:中野区中野5-56-11 白百合ビル2F電話番号:03-5380-3433
石原たきび=取材・文