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華やかでフローラル。この冬限定のホリデーブレンド「ネイバー」


続いて淹れてくれたのは、この冬限定の「ネイバー」。こちらは「ジャイアント・ステップス」とは対局、ライトで飲みやすい一杯だという。
 
「スペシャリティコーヒーの産地として知られる、エチオピアのグジ地域。そこにあるハンベラエステート農園を精選拠点とする、隣り合う2つの農園の豆をブレンドしました。しかも、かたや豆を天日干しするナチュラル、かたや豆を水洗いするウォッシュドと、異なる精製方法で作られた豆をあえてブレンド。これによりグジのテロワールを生かした豆になっています」。
カップに口をつけると、なんとも華やかな味わいだ。苦味などはどこ吹く風。ドライマンゴーを思わせる濃密な甘みを、ベリーのような赤い酸味、シトラスにも似た柑橘系のフレーバーが追いかける。コーヒーがフルーツであることを思い出さずにはいられない。
「時間による味の変化を楽しめるのも特徴です。冷めるほどに酸味が引き、質感は丸みを帯びてまろやかになる。果実由来のフレーバーも豊富で、飲むたびに“新たな発見”に巡り会える。ぜひじっくりと時間をかけて飲んでみてください」。
一般的なコーヒーは時間とともに酸化して味を落とすものだが、ネイバーは冷めても美味しい。軽やかな口当たりを強調するなら、お湯350ccに対してコーヒーの分量は25gと控えめに抑えよう。
淹れてくれた2杯以外にも、おすすめのブレンドはまだまだある。

「左の『スリー・アフリカズ』は、フローラルな華やかさとチョコレートのような濃厚さを兼ね備えた、バランスのいいコーヒー。さらに右の『ベラ・ドノヴァン』は、果実の甘みとともに確かなボディ感を味わえる、ワインのような“開いた重み”のあるブレンドです」。
どれを選ぶか迷ったときには、期間限定の「ブレンドボックス」を入り口にしてもいい。こちらはネイバーに加え、定番のブレンド4種類から2種類を選べるセットだ。ギフトとしても喜ばれるだろう。
 

農園と二人三脚。豆の数だけ、物語がある

さらにブルーボトルコーヒーでは、グリーンビーンバイヤーが世界中の農家に足を運んでコーヒー豆を買い付けているとか。佐藤さんは、根底にある哲学も語ってくれた。
 
「大切にしているのは農園と私たち、お互いが成長できる関係を築くこと。そのためなら農園への協力は惜しみません。たとえば、豆をただ買い付けるだけでなく、ミャンマーの農園にスタッフ自ら出向き、長い年月をかけ、農園の人たちと一緒に品質向上のための取り組みを行ったこともあります。農園が成長すれば、私たちも高品質なコーヒーに巡り会い、それをお客様に届けられる。こうした循環を育てながら、本当に美味しいコーヒーづくりを追求しています」。

海を越えて現地にわたり、さまざまな人との交流を経て、ようやく出来上がったコーヒーたち。ブルーボトルコーヒーに行ったら、各ブレンドにまつわる“物語”を聞いてみるといい。そこにはきっと、世界を股にかけた誕生秘話があるはずだ。
佐藤宇紘=取材・文


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