連載「レジ横コーヒーのおいしいヒミツ」Vol.5
お目当てのドリンクをレジで注文、カウンターで受け取る。コーヒーショップのよくある光景。でもちょっと待った。せっかくなら、レジ横に鎮座している豆にも目を向けてみよう。そこにあるのは、各ショップが考えた“ベストなコーヒー豆”へのアプローチなのだから。
「レジ横コーヒーのおいしいヒミツ」を最初から読む真っ白の外観に、青いボトルのワンポイント。コンクリートむき出しの内装と、木の温もりを感じる調度品は、センスのなせるシンプル・イズ・ベストなワザ。肩肘張らずにコーヒーをすすれば、ふわりと立ちのぼるフレーバーに舌も鼻も唸らされる。
そんな「ブルーボトルコーヒー」は、アメリカはカリフォルニア生まれ、サードウェーブコーヒーの代表格とも言うべきカフェチェーンだ。店頭で提供するコーヒーはもちろんのこと、茶袋に包装されたオリジナルの豆にもこだわっている。
今回は、ブルーボトルコーヒーでバリスタ育成や新店舗立ち上げなどに携わる佐藤さんに、おすすめの“レジ横ブレンド”を教えてもらった。
重くてビター。ハードボイルドなコーヒー「ジャイアント・ステップス」
「まずは一杯、飲んでみてください」。
そう言うと、滑らかな手つきでコーヒーをドリップする佐藤さん。この日は実際にブレンドを淹れながら、豆を紹介してくれるという。
最初に淹れてくれたのは、「ジャイアント・ステップス」。一口すすると、なるほど、どっしりとしたボディ感とともにビターな味わいが口のなかに広がった。熱い液体に喉を鳴らせば、濃厚なダークチョコレートにも似たアフターテイストが尾を引く。ウマくて、深い一杯だ。
「ブルーボトルコーヒーの豆のなかでも、ひときわ深煎りでたくましいコーヒーです。名前の由来は、ジョン・コルトレーンが作曲した『ジャイアント・ステップス』という楽曲。たくさんの音を速く奏でる彼の奏法『シーツ・オブ・サウンド』は、濃厚でどっしりとしたこのコーヒーのテイストを思わせます。推奨しているレシピも、お湯350ccに対して豆の分量は30グラム。あくまでも濃い口にこだわっています」。
そんな「ジャイアント・ステップス」だが、時間とともに性格を変えるのも面白い。冷めるごとにボディがソフトになり、マイルドな口当たりと、チョコレートのような甘みが増していくのだ。ハードボイルドから一転、角の取れた温厚な一杯になる。
ブレンドされている豆は、ウガンダ、インドネシア、ペルーの三種。
「私たちが使用している豆は、多くのストーリーを経て、私たちの手元に届いています。たとえば、ウガンダの豆はシピフォールズのものを使っています。彼らはアフリカで初めてオーガニック認証を取得し、土壌問題にも着目し、ウガンダのコーヒー品質のイメージを覆すようなコーヒーを毎年作ってくれています。まさにウガンダのスペシャルティコーヒー生産を先導してくれているチームなんです」。
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