連載「俺の家電」
服に靴、車、腕時計。それに家。男がこだわるべきものは多々あれど、より上の生き方を求めるなら、一度家の中を振り返ってみてほしい。そこに並んでいる品々で満足か? QOLに影響大な家電たち、そろそろ「俺の!」と胸張れる逸品を選ぶ時では? 知識豊富な二子玉川 蔦屋家電のコンシェルジュに伺った、本当に持つべき傑作をレクチャーする。
冬の団欒にはコタツが欠かせないと思いつつ、イマイチ導入に踏み切れなかった。なぜなら、我が家のリビングは洋間だから。
でも、天板にデニムを配した「Hanna(ハンナ)」ならベストマッチ。妻がママ友を招く頻度も上がっている気がする。
お気に入りの501を履いた週末の夜、楽しみが増えた。家族揃って食べる鍋である。コタツに座って熱々の具を頬張れば、みんな笑顔。インディゴブルーと土鍋の無骨なテーブルコーデに刺激され、積極的になった俺は鍋奉行を買って出る。
来週はオリジナルレシピに挑戦してみよう。家族団欒のリビングの良さ、スタイリッシュなコタツのおかげで再認識できたようだ。
ずっと座っていたいデザインで
家族との距離がもっと縮まる
洋式のライフスタイルが一般的になって久しい現代。コタツの価値が見直されている。暖房器具としての優秀さはもちろん、多幸感溢れる景色を演出できる点も再評価のポイントだ。とはいえ、昭和ライクなモデルでは、住環境とミスマッチ。こだわりのインテリアが一発で台無しである。
そこでおすすめするのが、日美株式会社の製作するコタツ「ハンナ」だ。国産ジーンズの発祥地である岡山県倉敷市児島のデニムを、テーブルの天板に採用。布地を使うために試行錯誤して生まれた特別なウレタンコーティング技法により、毛羽立ちやダメージを防止しつつ、高い撥水性も確保した。蔦屋家電のコンシェルジュ・久保雄一さんによると「本体の生産地は香川県。金刀比羅宮や複数の五重塔を擁するだけに、漆加工、木工などといった、手仕事が得意な地域なんです」とのこと。
ベースはナチュラルな無垢材。「柔らかくて、手触りがとても優しいんです。コタツはMDFと呼ばれる、丈夫で加工しやすい安価なファイバーボードを使うのが一般的。ですから、風合いや高級感もレベルが違います」(久保さん、以下同)。熱や湿度が変化しやすいアイテムにもかかわらず、割れたり反ったりすることがないのも驚きなんだとか。「熟練の職人が仕上げているなと感心します」。
季節問わずに使えるから
メインテーブルとして活用を
天板に張られたデニムの製作は、世界的に有名なジーンズ生地メーカーの株式会社ジャパンブルーが担当。繊維を分解する酵素のセルラーゼと、ボールを一緒に入れて洗う“ボールバイオ加工”によって、深くて鮮やかなインディゴブルーに仕上げている。「企画者がヴィンテージデニムの愛好者なので、色落ちやアタリにはとてもこだわっています」。
ウォッシュドデニムは吸水性のあるファブリックであり、仕上げ前の中塗り材を塗布し研磨する工程を約10回も繰り返す。おかげで、同サイズの完全木製モデルが1日50〜60台生産できるのに対し、「ハンナ」は10台ほどしか作れないそう。
高さ38×横105×縦60cmと、コンパクトなのも汎用性を高めるポイント。流行のローソファとだって相性ピッタリなサイズ感だ。冬以外の季節はコタツ布団を取るだけで、そのままリビングテーブルに。凹凸のないカーボンヒーターだから、素の状態でもスッキリ見える。
「インテリアが乱れないルックスの良さですから、寒い時期を過ぎても収納せず出しっ放しでOK。ストーブやヒーターと違い、通年で使えますよ」。暖房器具の出し入れは億劫なもの。今年からは布団の準備&片付けだけで済む、シンプルなコタツ生活に移行するのが正解かも。
枠と脚に使われるのは上質感漂う天然木。ラフなデニムとのメリハリが、洗練された空間を作るのに一役買う。特に脚は先端ほど細くなるシルエット。布団を外しても、リビングテーブルとして申し分ないデザイン性を保持している。
「お手入れや模様替えのときは、天板を外すとスムーズに。ダイヤル固定ですから、工具無しで大丈夫です。天然木のため重量がありますが、それも質の良さの証。一生モノの重みとも言えます」。
コタツはエアコンやストーブ、ファンヒーターと違い、部屋を乾燥させない暖房器具である。だから、老若男女が集まるリビングにうってつけ。「IoTの流れに乗るのもアリです。しかし、あえてユルいコタツでライフスタイルに余白を持たせるのが、遊びを知る大人の粋かも知れません」。しかも、男の大好物であるデニムとくれば、居間で過ごす時間が増えること必至。家族との触れ合いも濃くなり、身も心も暖かい団欒を楽しめるだろう。
【取材協力】 二子玉川 蔦屋家電 住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット 電話番号:03-5491-8550 営業:9:30〜21:00(音楽・文具・BOOKは9:30〜22:30) 定休日:1月1日金井幸男=取材・文 きくち よしみ=撮影