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2018.12.16

たべる

NYの巨漢ラッパーに学ぶ、ストリート流ナチュラルワインの楽しみ方

人為的な介入を最小限に、ブドウの力のみによって醸し出されるのがナチュラルワインならば、その飲み方に関しても余計な介入はいらない。もちろんどんなワインを飲むかも大事なことだが、それより大切なのはどう楽しみ、どう遊ぶか。
今回はより自由に、大胆に、ナチュラルワインの世界をまさにストリート感覚で楽しむ海外の実例を紹介しよう。

坊主頭に大髭をたくわえ、ワイン片手にタトゥーで埋め尽くされた超ヘビー級ボディを揺らすこの男の正体は、NYクイーンズ出身の人気ヒップホップMC、アクション・ブロンソン(35歳)。XXXXLサイズのストリートウェアを着こなし、見た目のインパクトもド級の巨漢ラッパーがいささか異色すぎるかもしれないが、大のナチュラルワイン愛好家としても知られている。
 
 
 
 
 
 
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Here’s to the weekend.
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通算6枚のアルバムを発表し、ラップ稼業は順調そのもののだが、それ以前は10年近く料理人として働いた経歴を持ち、「ラップすることよりも飲んで食べることを愛してる」と公言する。本業を上回る情熱でグルメタレントとしても活躍中。
カナダのネットメディア『VICE』では、自身のフードカルチャー番組「F*ck That’s Delicious」を展開し、相棒のフランス人ワインディーラー、クロビス・オチンを道先案内人にパリのビストロからフランス地方のワイナリー、スペイン・バルセロナの有名ワインバー「Bar Brutal」や北欧のワインシーンなど、世界各地を探訪しては仲間たちと羨ましい限りの飲み喰い三昧の生活をレポートしている。
 
 
 
 
 
 
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EVERYBODY EATS AND DRINKS WHEN THEY’RE WITH ME. “FROM PARIS WITH LOVE” @septimeparis #fuckthatsdelicious ? @chrisgrosso
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(パリのビストロではキッチンに入り込み、大胆にも調理前の魚にワインを飲ませる)
これまでヒップホップの世界で定番の酒と言えば、高級シャンパンかブランデーあたりが思い浮かぶところだが、アクションにとってのそれは間違いなくナチュラルワインだ。ステージ上では1.5Lのマグナムボトルをラッパ飲み、テレビ出演する際もお気に入りのボトルを持ち込み、どこへ行くにもナチュラルワインは欠かせない。
 
 
 
 
 
 
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New episodes starting tomorrow. How could that be bad?
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(もちろんヘアカット中でも……)
その熱の入れようは、発売されたばかりの最新アルバム『White Bronco』でも、”Don’t drink gin and tonic, only natural wine to be honest”(ジントニックなんて飲むな、ナチュラルワインだけ飲んでおけ)と歌うほどだが、ナチュラルワインに出合うまでワインには興味すらなかった、と言う。

(リリースされたばかりのアクション最新アルバム『White Bronco』より)
「ナチュラルワインなんて言葉は聞いたことがなかったよ。正直赤ワインは重くて一杯も飲み干せなかったんだ。ところが、2015年のパリ公演の楽屋にクロビスが現れ、オレにフランク・コーネリッセンの『Susucaru』を飲ませてくれた。なんて言ったらいいか、とてもスペシャルで原始的な味わいだ。目が覚めるような衝撃的な体験だったし、それ以来ナチュラルワイン以外を飲むことが選択肢にないくらい夢中になってるんだ」。
フランク・コーネリッセンとは、伊シチリア・エトナ山麓にワイナリーを持つベルギー人生産者で、「エトナ山の溶岩が液体化したかのようなワイン」を理想に掲げる超自然派の造り手。最上級のキュベ(銘柄)には文字通り「Magma」(アクション曰く「口の中であらゆるフレーバーが噴火するような味わい」)と名付けられ、「Susucaru」は赤白混醸のロゼだが、アクションによる「プロモーション」の効果もあって、アメリカでは現在レアなスニーカーばりに入手困難になっているとか。
 
 
 
 
 
 
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GOT ALL MY HOES READY FOR THE AFTER PARTY.. #natural #fuckthatsdelicious ??
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(パーティにもお気に入りのナチュラルワインが。左が「Susucaru」)
これまでの権威主義的なワインの世界よりも、自由で気楽なナチュラルワインの魅力を世に伝えるうえでは絶好のアイコンと言える存在のアクションだが、最近では自身のワイン観を変えたフランク・コーネリッセンとの異例の対談も実現させ、フランス・オーヴェルニュの生産者、パトリック・ブージュとは、新しいビートメーカーと曲を作るような感覚で「A La Naturel Rouge 2016」と冠したコラボレーションワインもリリース。ストリートカルチャーの住人らしい既成概念に縛られない発想と創造力で、ナチュラルワインの世界に新風を吹き込んでいる。

(巨匠フランク・コーネリッセンとの対談は1時間以上に及んだ)
(Action Bronson x Patrick Bouju「A la Natural Rouge 2016」)
ナチュラルワインが若い世代や、これまでワインになじみのない層をも魅了し、世界中で熱狂を生み出している背景には、その個性的で多様な味わいだけでなく、エチケットのアートワークなどから感じられる音楽やカルチャーの匂い、造り手の独創性に親近感を覚える面も多分にある。
そしてアクションのような、型破りなインフルエンサーの登場によって、想像力次第ではもっとナチュラルワインの領域を、その楽しみ方の可能性を広げることもできるはず。アクションはいつも言う。
「美味しいワインと良い音楽があれば幸せだ。それ以外に何がいる?」
日本でもクラブはもちろん、各地で良音小箱が増えている昨今、そんな現場でナチュラルワインを飲みながら体を揺らせるようになれば、日本人の幸福度もきっと向上するのでは?
 
 
 
 
 
 
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@smokepurpp blessed our trap.
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Start your weekend the @bambambaklava way.
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(毎週末にVICEのキッチンで開催されるアクション・ブロンソン主催のパーティーの様子。ワインの造り手、イギリス発のナチュラルワインイベント「RAW WINE」のディレクターをはじめ、業界関係者からシェフ、ラッパー、バンド、パフォーマーらがグラス片手に入り乱れる、なんともカオスなミックスカルチャーの祝祭と化す)
 
@go.naname=文


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