挑戦し続ける。その精神基盤が形成された20代大学卒業後、新卒で大手金融業機関に入社。水上さんの何かに挑み続ける人生のきっかけは、ここで生まれた。元々は経験豊富な社員しか所属できない新規事業推進部門に、新入社員で抜擢されたのだ。
「右も左もわからない状態のなかで、無から有の事業を生み出す。ハードではありましたが自分が興味を持った分野であれば、どんどん開拓できる面白さがありました。それが自分の挑戦の出発点ですね」。
新規事業の推進担当として事業に着手した水上さん。既存事業に新規事業を付加したうえで、数字を出すことを命じられ、結果を出した。その後、コンテンツとデータの融合によって事業を大きくしていくことに面白みを感じ、理念に共感したオリコンに26歳で転職。当時、エンタテインメントの在り方は大きな変遷の時期にあった。
「1990年代、ゲームやCMはもとより、本などにしても、音楽との関わりがより深くなったことで、エンタテインメントの広がりには各データが必要な時代でした。オリコンではデータに基づくランキングなど、総合エンタテインメントとしてデータと音楽を絡めていくことを重視していました。そこで早々に重要な立ち上げの仕事を担当させてもらいました」。
オリコンに転職後、持ち前のバイタリティと企画力で20代にして一気に取締役まで駆け上がった。スピード昇進を成し遂げた秘訣を聞くと、「自分が面白いとか前向きに取り組みたいと思うものに対しては、何時間でも仕事をしてしまう。そういうタイプだっただけです」と語る。
エンタメの提供をビジネスにつなげるという大きなミッションを背負うなかで、急速に社会は情報化し、「データ」は貴重な財産となった。エンタテインメントのデータといえば、オリコン。今では当たり前となりつつある、そんな一時代を築きあげる一翼を担ったのだ。
3/3