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鮮やかに蘇るシカゴの情景
「ロレックス」のコスモグラフ デイトナ

プロのカーレーサーのニーズに応えるために、1963年に誕生。クロノグラフやベゼルのタキメーターが疾走感を湛えている。澤田さんが所有するのは、高級感たっぷりのプラチナ製だ。
サワダコーヒー オーナーバリスタ
澤田洋史さん Age 49 が語る ツナガリ
ラテアート界にその名を轟かせる澤田さんは、無類の時計好きとしても知られている。そんな彼が数多のコレクションのなかでひと際愛着を持つのがロレックスのコスモグラフ デイトナだ。
「2015年に、念願だったアメリカ・シカゴでの出店が決まった際に思い切って購入しました」。ずっしりとしたプラチナの重みもさることながら、勇気を持って未踏の地に単身で飛び込んだ澤田さんを、より深い感慨に誘うのは時計のダイヤルに採用された独特なカラーリングである。
「当時の記憶、シカゴの街の中心を流れる川が真冬に凍る光景が、この鮮やかなアイスブルーに重なるんです。そして何より、ベゼルとインダイヤルの目盛りがコーヒーのようなチェスナット ブラウン。これには運命的なものを感じましたね」。腕元を見るたび、かの地の情景が浮かぶ。そして絶え間なく動き続ける時計は、時間を超え、距離を超え、男を突き動かしてきた情熱やパイオニア精神をいつも伝えてくれるのだ。

澤田洋史さん 
PROFILE●1969年大阪府生まれ。シアトルへの留学中にラテアートと邂逅。2008年、ラテアート世界大会でアジア人初のチャンピオンに輝き、’15年に自身のショップ「サワダコーヒー」を米国に設立。
 

結ばれた証しとして、いつも腕元に
「タグ・ホイヤー」のタグ・ホイヤー カレラ キャリバー1887 クロノグラフ

伝説の公道レースをイメージソースとする、タグ・ホイヤーの基幹コレクションのひとつ。クロノグラフ特有のインダイヤルやベゼルのタキメーター表示が、モータースポーツの世界観を伝える。
フリークス ストア 営業
斉藤篤史さん Age 38 が語る ツナガリ
32歳で結婚を決めた。妻となる女性からは、「婚約指輪はいらないよ」と告げられた。「その代わり、一緒に旅行へ行こうと言われて。でも実は、内緒で指輪を用意していたんです。青山で見つけたお店に入って、自分の希望するデザインを依頼して一から作ってもらいました」。
ところがある日の夜中、些細なことで口論に。喧嘩を収めるために方法はひとつしかなかった。「結局、その流れで指輪を渡しました。すると彼女も、この時計を僕に手渡したてきたんです」。互いが互いを想う。思いがけないサプライズは、結果的に記憶に残るプロポーズとなった。
「欲しかった時計でした。雑誌をスクラップしていたくらい。彼女もそれに気付いていたみたいで。モノトーンスタイルが好きな僕のために、黒文字盤のタグ・ホイヤー カレラを選んでくれました」。休日はもっぱら4歳になる娘との“デート”が楽しみという斉藤さん。その腕元にはいつも、結婚指輪のように2人を結ぶこの時計がある。

斉藤篤史さん
PROFILE●1980年千葉県生まれ。一度はIT企業に勤めるも、アパレル業界へ転身。2006年にフリークス ストアの母体であるデイトナ・インターナショナルに入社。昨年からは営業部で活躍する。
 

揺るぎなき価値観に圧倒されて
「パテック フィリップ」のノーチラス

歴史、品質、ステータス。どれをとっても時計界の頂点と謳われるブランドの名作。金無垢ケースにグレーのアリゲーターストラップを付け替えた佐藤さんのノーチラスには、成熟した色気が漂う。
卸売会社 役員
佐藤紳一朗さん Age 43 が語る ツナガリ
パテッック フィリップのノーチラスを愛用する佐藤さんは、ファッションを自由に楽んでいる。「トレンチコートはハイクのレディス、裾リブ仕様のスラックスはトム ブラウン、靴はジョン ロブのストレートチップシューズです。このリングは──」。
昔のように流行を追いかけることはなくなった。だが、自分らしさを求めて好奇心はどんどん強くなる。佐藤さんの服選びがそう物語っている。だからこそ彼は、時計の世界の扉を開いた。「こんなに小さな箱の中に、何十、何百という歯車や部品が噛み合い針が動く。機械式時計の魅力を先輩から教わり、すぐに虜になりました」。
深遠なる機械仕掛けの世界で見えた、歴史、ロマン、マニュファクチュールとしての矜持。時代に流されず、“最高”を追求するパテック フィリップ。揺らがぬ価値観を持つ時計は、大人の理想像とも重なる。最初は「ちょっとオヤジくさいと思った」というノーチラスが似合うようになってきたのは、単に年を重ねたからではないはずだ。

佐藤紳一朗さん
PROFILE●1975年東京都生まれ。古着や裏原ブームを肌で感じたOC世代。現在は家電の卸売会社の役員を務める。休日、奥さまと買い物へ出かけることが何よりのリフレッシュになるのだとか。
 
鈴木泰之、恩田拓治、小林孝至、蜂谷哲実、高橋絵里奈=写真 柴田 充、髙村将司、中村英俊、戸叶庸之=文、菊地 亮=取材


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