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設計が古かったMacBook Airはこのところ、価格の安いエントリーレベルのブランドだとみなされてきた。しかし、新しくなったMacBook Airは少し役割が変わってくるようだ。「アフォーダブル(手頃な価格)で可搬性の高いMac」という位置付けには、従来のMacBook Airがラインナップに残るからだ。
一方の新しいMacBook Airは、MacBook Proなど最新モデルが採用する技術トレンドを採用しつつ、クリエーターや開発者向けに商品が設計されているMacBook Proから一般的なビジネスパーソン、あるいは学生などに不要な要素を取り除くことで、コストパフォーマンスやバッテリーの持続、あるいは薄型軽量といった部分を磨き込んでいる。
特にこだわりを感じるのが、そのスタイルだ。
初代MacBook Airから続くくさび形のフォルム(筆者撮影)
初代MacBook Airから続くくさび形のフォルムはそのままだが、今回は外層部のどこにも吸排気のスリットが見えない。
実はヒンジ部の見えにくい部分に空気の出入り口が作られているが、MacBook Airは一般的な薄型ノートパソコンの半分以下の消費電力のプロセッサーを搭載することで、まるで冷却ファンが装着されていないかのようなクリーンなスタイルを実現している。
ぴったりと合わさる高精度の液晶部と本体部の関係性も含め、工芸品のような精緻な印象をもたらす緻密な作りがMacBook Airの魅力だろうが、実はそのパフォーマンスは実に計算されたものだった。

ユーザーインターフェイスの「質」を重視

前モデルのMacBook AirはMacの中でも特に人気が高く、長い間販売されてきた製品だった。その理由の1つは購入しやすい価格にあったが、もちろんそれだけが理由ではない。
MacBook Airが支持されてきたのは、13.3インチという仕事をするために必要十分な作業性を持つディスプレーと、19ミリキーピッチで縮小キーを配置しないキーボードを搭載しつつ、薄くカバンへの収まりがいいパソコンだったからだ。
新しい世代でも、MacBook Airの基本的な美点は踏襲されている。
キーボードは第3世代バタフライ構造キーボード。超薄型を実現するためのキーエレメントとして、2015年モデルのMacBookで導入されたのがこの構造だったが、一方で打鍵音や信頼性に対する問題の指摘もあった。こうした問題に対処を進め、おだやかな打鍵音と感触を実現している。


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