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信頼性問題にも対処が行われたようで、以前の製品に対しては無償修理延長のプログラムが発表されている(言い換えれば、現世代では対処できたということだろう)。第3世代となったバタフライ構造キーボードを搭載するMacBook Proでのトラブルはまだ耳にしていない。
タッチが改良されたキーボード(筆者撮影)
一方でタッチは確実に改善されており、慣れるとストロークの短さが疲労軽減につながる印象もある。ストロークの長いキーボードに戻りにくくなるというう副作用はあるが、筆者はこのタイプのキーボードに対してはポジティブな印象を持っている。
また、MacBook ProのTouch Bar搭載モデルにのみ導入されていた電源ボタン兼用の指紋式個人認証システムTouch IDも搭載されている。コンベンショナル(伝統的)なファンクションキーとTouch IDの組み合わせは初めてのものだ。
一方、待望のRetinaディスプレーがMacBook Airにも導入された。13.3インチの適度な広さと、2560×1600画素の高精細ディスプレーにシャープな表示はiPadやiPhoneでもおなじみのもので、フォントレンダリングや文字レイアウトの美しさといったmacOSの美点もあって良好な視認性を提供する。
色再現域も48%拡大し、sRGBを100%カバーする。インストールされているカラープロファイルを観察する限り、sRGB色域を超える色を表現できるようになっているようだ。カラーのマッチングもよく調整されている点も、近年のアップル製品に共通している。
表示性能が高まったことに加えて、薄型ながら良好な作業性を誇るキーボード、業界随一の操作性、応答性、信頼性を誇る圧力検知式のトラックパッドとともに、パソコン操作の基本となるユーザーインターフェースの質は、Mac以外のプラットフォームを見渡しても高いレベルにある。もちろん、長らくアップデートされていなかったこともあり、前モデルからの改善は大きく、個人で持ち歩くビジネスツールとしての完成度は着実に高まっている。

パフォーマンスと省電力性のバランス

このように、パーソナルなビジネスツールとしての完成度を高めているMacBook Airだが、発表当初からパフォーマンスに懸念の声があった。しかし、この点は大きな心配は必要ないというのが個人的な結論だ。
新しいMacBook Airに搭載されているプロセッサーは、最新の第8世代Intel Core i5プロセッサーだが、アップルは一般的な薄型ノートパソコンが採用するTDP(熱設計電力枠)15ワットの部品ではなく、7ワットのIntel Core i5-8210Yというプロセッサーを選択した。
TDPは製品設計上の目安となる数字で、より薄く静かなコンピュータを設計する場合は低いほうが好ましい。しかし、消費電力を抑えると発揮できるパフォーマンスも下がる。6月に発表されたMacBook Proは性能を重視して冷却性能を高めつつ薄型を実現していたが、そのために高性能な冷却システムを搭載していた。


4/5

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