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さまざまな植物や花を収集するため国内外を飛び回る男の命懸けのノンフィクション。西畠清順の『プラントハンター』。ユースケさんが、この本に惹かれた理由とは?
『プラントハンター 命を懸けて花を追う』
西畠清順・著/徳間書店
150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の5代目として生まれ、21歳よりキャリアをスタートした西畠清順さん。さまざまな植物を収集する常識破りの「プラントハンター」として、時に命懸けで日本全国・世界各国を飛び回るノンフィクション。
──この本と出合ったキッカケはなんですか?平山「作者の西畠さんを初めて知ったのは、テレビ番組の『情熱大陸』だったかな。『プラントハンターなんて面白い人がいるなぁ』と。それで興味を持って読んだのがこの本です」。
──「プラントハンター」。いまいちピンとこない単語です。平山「わかりやすく言えば“植物エージェント”みたいな感じなんですよ。お客さんに『こんな植物がほしい』って言われれば、希望に合う花や植物を探しに行く。『お客さんが求めているのはこれだ』というものが見つかれば持って帰る。てっきり変わった植物を持ってくればお金になる仕事なのかと思ってたけど、全然違うんだなと」。
──あまり一般的に知られてないですよね。平山「西畠さんは幕末から150年以上続く卸問屋『花宇』の5代目で、父親との確執やその後の成長、植物に対する接し方の変化などが本では描かれてます。こういう自伝的なドキュメンタリーの面白さって小説とは違うじゃないですか。西畠さんは今生きている人だし、こういう世界があって、こういう考え方の人が現代にいる。それを知ることがすごく面白いですね」。
──なるほど。平山「自分が絶対だと思っていることって、違う角度から見たらそうでもなかったりする。自分と違うことをやってる人がどんな考え方なのかを知ると、考え方は無限だし、自分の価値観なんて小さいんだなって思い知らされます。だから、基本は小説が好きだけど、たまにこういう本も手に取るんですよ」。
──特に惹かれた部分はどこですか?平山「これは西畠さんが一緒に仕事をしているベテランの先輩の言葉なんですけど、『その花を愛し、その根を想う』と。美しいものの裏には必ずそれを支える裏方がいるという考え方で、これは僕らの仕事にも通じるところがあります。こうやって誰かの言葉がすごく刺さるときがあるんですよね」。
──素敵な言葉ですね。平山「ほかにも、西畠さんが接したお花の先生の言葉もあります。『
「作品の完成度ももちろん重要ですが、それ以上に“見えない部分と過程”が大事」というのは銀閣寺に伝わる活け花の特色でもあります。花の美しさより花を活ける場の支度、水を汲みに行くときの心の持ちようなど、活ける以前の過程が大事だという考え方です』」。
──水を汲みにいくときの心の持ちよう、ですか。平山「俺の口からは出そうにない言葉だけど、へぇって思いますね。こういうのを聞くと『花とかもやってみたいな』と思ったり(笑)。ほかの世界について書かれた本を読むことで興味も広がるし、実際に花をできるかは別としても、読むだけで気持ちが豊かになるというか」。
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