仕事にやりがいを感じ始めた矢先、突如ニートに……。
IT業界の黎明期からバブル期まで経験した伊藤さんが、37歳でニートになったのは、自身が長年携わっていた「仕事」を見直すタイミングに入ったからだ。
「当時、勤務していたベンチャー企業で制作したシステムが、年間億レベルの収益を生み出す大掛かりなものだった。たぶんプログラマーとしては1番、仕事にやりがいを感じていた時期でした」。
しかし結局その事業は、競合他社との競争のなかでボツになり、会社そのものもクビになってしまった。37歳、仕事に熱意を感じ始めた矢先の、突然の失職だった。
「自分が期待をかけていたプロジェクトだっただけに喪失感も強くて、1年ぐらい抜け殻みたいになってしまいました。中野の自宅で、ずっと引きこもってましたね。ニートで引きこもりで……人生どうしようって感じです」。
1年間の引きこもり生活。焦燥感に襲われ、再度プログラマーとして派遣で働き始めたものの、給与は以前の半分以下に。しかしそれ以上に、新たな職場での人間関係に辟易したという。
「新しく入った会社は、定期的にスタッフ同士で飲み会やったり、交流会したりっていうのが、嘘くさいと思って馴染めなかったんです。僕が辞めるってなったときも一度も話したコトない人が集まって送別会して、色紙くれるんですよ」。
俗にいう「意識高い系」の会社と言えるだろうか。形式的なふれあいやコミュニティに嫌気がさした伊藤さんは、仕事を辞め、実家に戻った。
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