過労で情緒不安定……ストレス発散法はお金だった
20代、30代の頃は長年IT関係の仕事に従事していた。
「ちょうどウィンドウズ95が出たばかりの時代。技術を身に着けたくて、IT業界に入りました」。
派遣社員として誰もが知る大手企業に派遣され、ネットワークシステムや設計のアシスタントの職についた。まだITベンチャーという言葉すらない時代。働きながら学ぶような感覚だったという。
「派遣社員を経て、25歳ぐらいのときに好奇心からITベンチャーに入社しました。プログラムの仕事は楽しいなんてもんじゃなかった。自分より若い人に、叱責される日々です(笑)。土日も平気で会社から電話がかかってくるし、3カ月で休みがたったの1日という時期もありました」。
今であれば100%問題になるような働き方が、当時は平然とまかり通っていた。過労で情緒不安定になり、スタッフ同士で殴り合いの喧嘩をしたこともあったという。当時のストレス解消法は、お金の力に頼ること。ブランド物で身を固め、朝まで飲み続けるなど無茶をすることも少なくなかった。
「独身貴族だったし、やりたい放題。辛さをお金で埋めてたというか、ストレスのはけ口がお金を使うことしかなかった。だからそれなりに稼いでいたんですけど、全然お金は貯まらなかったですね(笑)」。
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