連載「俺の家電」
服に靴、車、腕時計。それに家。男がこだわるべきものは多々あれど、より上の生き方を求めるなら、一度家の中を振り返ってみてほしい。そこに並んでいる品々で満足か? QOLに影響大な家電たち、そろそろ「俺の!」と胸張れる逸品を選ぶ時では? 知識豊富な二子玉川 蔦屋家電のコンシェルジュに伺った、本当に持つべき傑作をレクチャーする。
家族が早く寝てくれた夜。静かにじっくり楽しみたいことがある。Sonic Decanter(ソニック・デキャンタ)を使った飲み比べだ。
銘柄やランクなんかどうでもいい。ワインに日本酒、ウイスキー。ボトル一本あれば、ひとりのひと時が極上のリラックスタイムに早変わりする。
スナックやジャーキーを小皿にセットする。そして、グラスは2つ用意。赤ワインのコルクを抜き、そのまま1杯注ぐ。残りは再び栓をし、ソニック・デキャンタへ。SNSを眺めたり、子供の写真を整理したりするうちに、タイマーのカウントダウンはゼロを示す。
空いているもう1つのグラスを満たすと、飲み比べの開始だ。うん、明らかに使用後のほうが甘く、渋みもない。これなら妻だって喜んで飲むだろう。次回は彼女とふたり、飲み残しの日本酒で試してみようか。
“化学の実験”を行うような感覚で
自宅BARがもっと充実
ワインを瓶からグラスに直接注がず、別の容器を経由させるデキャンティング。多くの空気とワインを強制的に触れさせ、急速に熟成させるローマ時代から変わらぬ手段である。しかし、2年モノを何度も別容器に移し替えたところで、30年寝かせた逸品にはかなわない。
そのうえ、酸化を促しているため、素人がやると劣化する恐れまである。このクラシックな”工夫”を現代風にアレンジし、より効果的に進化させた注目アイテムがソニック・デキャンタだ。
同商品は特許技術である超音波で液体を振動させ、細かい気泡によって撹拌する。それにより、ワインに含まれる酸素が抜けるため、劣化させずに熟成のみが進むという。
蔦屋家電の食コンシェルジュ、磯野泰功さんによると「従来の家庭用ワインセラーが発生させる物理的な振動は、ワインの分子を不安定にし、味わいが損なわれる要因とされています。ワインは本来、ゆっくり活動することで熟成するのです。でも、ソニック・デキャンタの振動はとても繊細で短時間。ストレスをかけずにポテンシャルのみ引き出す、マジックのような家電です」。
超音波による熟成は赤ワインの苦味と酸味を抑え、結果として甘みだけ約15%も上昇させる。まろやかで飲みやすい、熟成感のある味わいに変化するわけだ。若い銘柄だと違いがより顕著に現れる。しかも、効果が得られるのはワインだけではない。日本酒やウイスキーも、角の取れたマイルドな飲み口に変貌。
日本酒なら約5分で、燗にしないと飲みにくい固めの銘柄が冷やでいけるように。ウイスキーもスタンダードタイプが、長期熟成のような風合いに変わる。
「コク、香りは確実に増します。ソニック・デキャンタにかければ、好みじゃなかったボトルが突如お気に入りになる場合も。実験の感覚で色々試すと面白いと思います」と磯野さん。飲み途中で放置しているお酒たちが、宅飲みを盛り上げる主役に躍り出るかも?
大げさな準備は不要なうえ
シンプルだからデイリーに使える
超音波熟成と聞くとアナログ世代は尻込みしそうだが、使い方はいたってイージー。エネルギーが液体に伝わりやすい冷水を用意し、本体に少量流し込んでから、ボトルもセットする。あとは、赤ワインなら赤、白ワインなら白と、非常にわかりやすく色分けされたスイッチを押すだけ。それぞれ20分と15分のタイマーになっていて、時間になれば自動的にオフとなり熟成完了。日本酒やウイスキーならば、好みの熟成感に合わせて5〜20分使用すると良い。
磯野さん曰く「好みを探るつもりで5分バージョン、10分バージョンと、飲み比べしてみるのがオススメ。お酒好きが集まってゲームみたいに楽しんでいる、という声をよく聞きます」だとか。
日が落ちてからのバータイムでも気兼ねなく使える静音性の高さ、モダンでインテリアに溶け込むデザインなど、ファミリーが無理せず迎えられる点もポイントが高い。
家電05_修正
一般的な750mlのワインボトルが収まるサイズ。合わない銘柄ならば、別の瓶に入れ替えれば大丈夫だ。
操作パネルには赤と白のスイッチのみ。ブルーに光るタイマー表示が夜のムードにピッタリだ。
ほとんどのワインボトルに対応するサイズで、日本酒の720ml瓶もそのまま使用可能となっている。大きすぎたり、角があったりするボトルなら、別のガラス瓶に移して使用すればOK。重量わずか1.7kgなので、収納場所からテーブルまでの移動だってラクラクである。
カラーはブラックベースと黒白バイカラーの2種類が存在。どちらも未来っぽくも違和感なくディスプレイできるルックスなので、見栄えにこだわる諸兄も満足できるはず。
プロのバーテンダーやソムリエが認める性能で、お酒ビギナーでも感じられるほど、使用前後の違いは明確。味の良し悪しが理解できる辛党なら、なおさら威力のほどを実感できるだろう。
買ったけどイマイチ口に合わず、単なるコレクションと化しているボトルがあるなら、ぜひもう一度チャンスを与えてやってほしい。もちろん、お気に入りをより愛したい、自分の本当の好みを知りたいという人にもオススメだ。
[取材協力]
二子玉川 蔦屋家電
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット
電話番号:03-5491-8550
営業:9:30〜21:00(音楽・文具・BOOKは22:30まで)
定休日:1月1日
きくち よしみ=撮影 金井幸男=取材・文