「お洒落であるより、格好良くありたい」と言う種市暁さんのスタイルに本誌が注目し、“種カジ”と勝手に命名して早数年。いつもパッと見の印象は無造作なのに、なぜか格好いいから不思議。そんな彼の装いの“タネ”をムリヤリ解説してもらう企画。
種さん、聞いてくださいよ。ウグッ(涙)。先日、我が子の運動会に場所取りのため先に向かった僕は、追っかけで到着した妻と合流。するなり妻が、スウェット&デニムにスニーカーという僕をディスり始めたんです。何ソレ、子供? って。
「なるほど。その格好って、デニムはダメージ系、スウェットはパーカ、スニーカーは運動用だったのでは?」。
まぁ、はい……。
「なら、自業自得ですね。
ファッション系ママたちからのありがたい指摘もあったじゃないですか」。
えっ!? 今日の種さんだって同じスウェット&デニムじゃないスカ! 何が違うんスカ! あ、スウェットの襟ボアが上品とかって言うんでしょ?
「はい、そこは最重要。でもそれだけじゃないんです。デニムは上品なタイトフィットでムラのない色落ちを選んで、足元はラバーソールのサイドゴアブーツ。だから動きやすく品も保てる」。
“野球帽”を被ってても?
「コラコラ。長めのツバのものを選んでシャープ感を意識してますよ。“野球帽”とは失敬な」。
なるほど、細かなタネが目白押しなのか。
「我々オッサンは、些細な不潔感が数倍、いや数十倍にも増幅される恐れがあるので、着慣れたスウェット&デニムこそクリーンを心がけないと落とし穴にハマっちゃう。運動会のような“●●ちゃんのパパ”と特定できるパブリックな場ではなおさらです」。
ライフステージが変われば、いつもの格好も変えなきゃいけないんすね。つーか種さん、オトーチャン事情にも詳しい。まさか僕と同じような苦い経験が?
「子供はいませんけど」。
……守備範囲広すぎでしょ。
理想を求めて仲間と作ったツバ長キャップ
キャップ好きを公言する種さんは、「フラットなツバのストリート系キャップだと子供っぽく見えるから」と、ツバの長いものをチョイス。「実はコレ、仲間と作ったブランドのもの。後頭部のクマのタグもポイントです」。これは
ビームス 六本木ヒルズで手に入る。
救急デザインのバッグを日常生活の“救急箱”に
「これ、センスいいっすよねー」と種さんがバッグから取り出したのがコレ。「ザ・ノース・フェイスの“救急バッグ”。デザイン最高! しかもサイズが絶妙で、今はグルーミンググッズを入れてます。スマホのコードやバッテリー類を入れる用も追加したい!」。なるほど、日常生活の救急バッグってことっすね。
履けば気がつく、ソールのタネ仕掛け
ビブラムソールが装着されていて、こう見えて実は快適。「僕の信条は“いつでも楽チン”。これはアッパーのスエードもソフトで本当に履き心地がいいんです。スニーカー感覚で品も保てる、秋冬の便利靴です」。
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの45歳、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(@taneichiakira)もチェック!
山本 大=写真 髙村将司=文