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落札したのは、サザビーズが「古くからの顧客」と称する欧州在住の女性だが、今もって具体的に誰なのかは発表されていない。11日に同社を通じて発表されたこの女性の声明を読むと「作品が細断された際、最初はショックを受けた。しかしそのあとになって美術史に残る作品が自分のものになることをじわじわと感じ始めた」と語っており、この状態で購入することを改めて表明する格好となった。
 

聞きつけたファンが会場に行列

さて、そんなバンクシーの話題作が見られるとあって、サザビーズのギャラリーには大勢の人々が集まった。公開が決まったのがわずか2日前、メディアでの紹介もあまり活発でなかった割には、常に数百人の行列が絶えることはなかったようだ。サザビーズは「平均すると1時間当たり1000人の入場があった」としており、2日間でざっと1万人もの人々がギャラリーを訪れたことになる。
並んでいる人々の顔ぶれをみると、意外と年齢層はさまざまで男女比はざっくり女性のほうが多かった。行列の横を何度か歩いてみて感じたのは、英語以外の言語でしゃべりながら待つ人が目立ったことだった。
背面から見ても、シュレッダーのようなものは見えなかった(筆者撮影/Courtesy of Sotheby’s)
公開とはいえ、20人ほどのグループごとに分けられ、各組の持ち時間は2分間のみ。写真を撮るにもどこをどう撮れば良いのか、セルフィーを撮るにしても周りは暗いし――と、なかなかみな苦労していた様子だ。
問題のシュレッダー部分は表からも裏からも特に怪しいモノが埋まっている感じはせず、巧妙にも「ふつうの分厚い額縁」にしか見えない。


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