課題も残るが、多拠点生活の地としての魅力は十分
軽井沢での“遊び”といえば、豊かな自然を満喫する散歩を愉しむことが多いという佐々木さん。軽井沢に流れる余りある素敵な時間を過ごすなら、秋から冬にかけてが最適だという。
「避暑地というイメージが強いですが、地元で暮らす人たちは、誰もが静かな冬の軽井沢を愛していますよ。水道管が凍るほどの寒さとはいえ、積雪量も通常そこまで多くはないので、生活ができなくなるほどではありません。スノーブーツを履いての散歩も、なかなか楽しいものですしね」。
贅沢なひとときを過ごすことができる、軽井沢。しかし佐々木さんによれば、多拠点生活の地としての課題も多く残されている。
「東京からの距離も、拠点としては魅力的ですが、多拠点生活や移住に適した物件は、まだまだ多いとはいえません。古い別荘の空き家は腐るほどありますが、特に冬場の利用を考えると、リノベーションしなければ住めないでしょう。設備の面でも、住むなら新築物件がオススメです」。
ちなみに、佐々木さんが暮らす軽井沢の家は、冬場の生活にも対応できる新築物件で賃料は20万円台とのこと。一般的にみて、多拠点生活のコストとしては、かなり高額な部類に入る。
「一方、観光が主な地元の収入源ということもあり、現状では民泊施設の建設が制限されているのも、試しに暮らしてみたいという人にとってはネック。若い世代の活動によって、これらの課題がクリアされれば、多拠点生活や移住の候補地として軽井沢がさらに注目されるのではないでしょうか」。
すでに、ゲストハウス建設に向けた動きもみられるなど、あたらしい魅力の創出が始まっている軽井沢。由緒ある別荘地から、幅広いライフスタイルを愉しむ多拠点生活の地へ。その変化を体感できるのも、現在の軽井沢ならではの魅力かもしれない。
石井敏郎=取材・文