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多拠点生活の地を選ぶポイントは、なによりも実体験


妻の仕事やご自身の取材活動の関係もあり、2013年からは福井に第3の拠点を持つことになった佐々木さん。それぞれの拠点での生活については、後編で紹介するとして、ここでは、多拠点生活の地を選ぶ際のポイントについてアドバイスしてもらった。
「多拠点生活を考えている人には、事前に肩慣らし的な体験をしておくことをオススメします。私の場合、試してみると、移動時間は大した問題ではありませんでした。東京から福井まで、車で片道6時間くらいですが、慣れれば平気なもの。東京近郊なら、横須賀や三浦半島あたりだと3万円くらいで借りられる一軒家があるので、試しに借りてみるのも、ひとつの手だと思いますよ」。
住居の選びかたについても、同様に“体験”がポイントになるという。
「実際に住んでみないとわからないことのほうが多いんですよね。たとえば軽井沢には古い別荘の空き物件が多く、最初はそのひとつに住んでいたんですが、いろいろあって1年で引っ越しをしました」。
良い物件を紹介してもらったこともあるが、引っ越しの決め手となったのは、軽井沢ならではの気候だった。
「極寒とまではいきませんが、それでも冬場は水道管が凍ってしまうほど。古い建物だと、東京に戻っている間は毎回業者を呼んで水道を止める必要があるなど、なにかと不便が多かったんです。今の家は新築で設備も最新なので、水道管が凍らないようになっているし、暖房も整っていますからね」。
冬の軽井沢。日本海側と比べて雪は少ないとはいえ、それなりの積雪があるし、冷える日も多い。
立地条件も大きなポイント。パッと見ただけでは予測できないこともたくさんある。
「一見静かな場所にみえても、実は観光客が利用する裏道に面していて車の行き来が激しかったり、夏場は気にならなかった坂が、冬になると凍結して上り下りが困難になったり。物件の購入を検討している人も、まずは賃貸などで様子をみたほうが良いと思いますよ」。
次回は軽井沢での過ごし方、そして多拠点生活者となったことで、佐々木さんに起きた変化について紹介しよう。
 
石井敏郎=取材・文


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