「いいおじさん」になろうとするな
若手に頼られたら、我々オッサン世代としてはうれしく感じてしまうものです。そして、つい頼ってきた人の言葉を鵜呑みにして、すぐさま解決行動に入ってしまうことがあります。
しかし、その訴えは単なる心理的事実であり間違っているかもしれませんし、若手社員も主張はするものの、俯瞰できているわけではないので、自分の主張にあまり自信はない状況で、とりあえず自分の目から見える状況を仮説として伝えているだけかもしれません。そういうときには、オッサン世代の拙速な行動は、若手にとってはむしろありがた迷惑でしょう(頼んできたのに、殺生な話ですが……)。
ですから、ここは若手にとって「いいおじさん」になるのをグッとこらえて、「それは本当に事実なのか」「すぐ動かずに取りあえずは様子を見てみたほうが良いのではないか」などと、ちょっと「嫌なおじさん」的な対処をするほうが、結果としては若手からも感謝をされるようになるのではないかと思います。拙速に動いてしまうと、「あの人に相談すると、話が大事になってしまって面倒なことになるんだよな」などと言われかねませんから。
曽和利光=文株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。