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Q. デニムの保管は“裏返し”が当然?
A. アタリや変色を抑える効果がある。


「デニムが置かれている環境、つまり湿度などによる影響も大きいのですが、一度に1000本近い商品を折り畳んだ状態で納品すると、まれにデニムが黄ばむというトラブルが発生します。インディゴは空気中の水素に触れると変色を起こす場合があるんです。裏返して畳まずに吊るせば、変色はかなり防げますよ」(後藤さん)。
自社工場を運営し、膨大な量のデニム生産を請け負う後藤さんの言葉は説得力が半端ない。ならば僕らも裏返そうっと。
 

Q. 結局、デニムの正しい洗濯方法とは?
A. 正解はない。ブランドごとに流儀はある。


まずはA.P.C.に聞いてみると、4つの洗い方を推奨しているとか。4つって何? 初回ドライクリーニングの「過激主義」、浸けおきの「セミ過激主義」、脱水なしの「洗濯機」、そして「海水」だという。
海水って何? できる限り洗わずにはき続け、そのときがきたらデニムをはいたまま海に入り、乾いた砂でこする。これを何度か繰り返し、水ですすいで、太陽に当てて乾かすのが「海水」。かくもデニムの世界は深遠である。
一方、デンハムでは、一部の店舗にデニムの無料洗濯サービスがある。代官山店などの店先でデニムを洗うスタッフの姿を見かけたことがある人もいるだろう。あれは客のデニムなのだ。天候にもよるが、納期は約1週間から10日ほど。独自に開発した洗剤を用いて、客の要望を聞きながら、スタッフが丁寧に手洗いしてくれるのだ。天日干しのパリッとした仕上げが気持ちいいぞ。
「アメリカに行って洗う」から「ウールスラックスの洗い方」へ
「ヴィンテージの色落ちを考えているときに、ふと“日本とは水が違う”と思って。アメリカに行ったときに現地で洗濯していた時期もあります(笑)」(内田さん)。嗚呼、デニム洗濯道の奥深さよ。
さまざまな洗い方を試してきた内田さんの最新ウォッシュ法とは。「デッドストックの501XXを洗うときに参考にしたのが、ウールスラックスの洗い方。裏返して、色落ち具合を確認しながらの手洗いです。水は常温で洗剤も使いますが、洗濯機での脱水は避ける。すすいだらそのままバスタブに持っていって、タオルに水を吸わせます」。デリケートなウールスラックスの洗濯方法は、色落ちが読めないヴィンテージデニムにも応用できる、というわけだ。
 
鈴木泰之=写真 戸叶庸之=文


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