センスのいいクリエイションでいつも僕らを魅了するフェイバリットブランドから、デザイナーが自選したマイ・ベスト・デニム。
センスのいい男たちのアツいデニム愛を読み解く!
’90年代を再解釈した“デニム好き”の最新作
ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ
デザイナー 渡辺真史さん「根っからのデニム好き」を自称する渡辺さんによれば、「デニムはファッションに必要不可欠なもの」。だからこそ、移ろう時代の中で自らの感性だけを頼りに新しいデニムを作り続けている。
「最新作は1990年代に流行したバギーシルエットをベースにしたデザイン。レングスをやや短くアレンジして、現代的な解釈を加えています」。今季はオリジナルで生地から製作するほどこだわった。追求したのは長く愛せるワークウェアとしてのデニムの本質だ。その出来栄えには自信満々で、「とにかくはき込んで、風合いを楽しんでほしいです」。そして、「僕は少し不良っぽいスタイリングではいています」と、今の気分も教えてくれた。
デニムから伝わってくる音楽やカルチャーの薫り
ネイバーフッド
デザイナー 滝沢伸介さん 「1年を通して、ほとんどデニムで過ごしています」と語るほどデニム愛に溢れる滝沢さん。手掛けた最新作はオリジナルの14オンスデニムを使用した。「’80年代のパンクスがはいていたようなデニムがイメージソースです。裏からニットを当ててリペアした両膝のクラッシュ痕に加え、ハードなウォッシュをかけ、アタリやヒゲ、縦落ちをかなり強く出しました」。
ヴィンテージデニムさながらの見事な加工だ。実際にはくと、そのシルエットにも驚く。股上はやや浅く膝下からテーパードする、現代的なスリムストレート。オススメの楽しみ方は「裾を短めにロールアップして、ドクターマーチンの8ホールブーツを合わせるような、背景に“音を感じる”スタイル」とのこと。参考にしたい!
デニムへのこだわりは古き佳き時代の空気感
オアスロウ
デザイナー 仲津一郎さん
パリやニューヨークなど、海外での評価も高いオアスロウ。仲津さんは、自他ともに認める「超ヴィンテージマニア」。そんな彼のモノづくりの根底にあるのは古き佳き時代のデニムだ。「往時の空気感を再現するため、当時使われていたミシンを使用するなど、最新の技術に頼らないモノづくりにこだわっています」。
最新作はブランドの顔である王道のストレートデニム「105」を、過度な加工を施さず爽やかなブルーに仕上げた。「’90年代独特の色を再現しました。スタンダードでどこか懐かしい感じ。どんなアイテムとも相性がいいのでコーディネイトは何も考えなくていいと思いますよ」。なるほど、頼もしい相棒になりそうだ。
デニムにもファンクションのあるスタイルを
ホワイトマウンテニアリング ワードローブ
デザイナー 相澤陽介さん
ホワイトマウンテニアリングのベーシックライン、ワードローブ。その新作デニムについて、相澤さんはこう語る。
「ホワイトマウンテニアリングのセカンドシーズン(2007年春夏)以来デニムを作り続けていますが、僕がずっと目指しているのは『ファンクションのあるスタイル』です。それはワードローブでも同じ。このデニムはまさにその言葉を形にしたようなデニムです」。
もともと、ホワイトマウンテニアリングで定番展開していたジャージー素材やツイル素材を使ったジョッパーズパンツをデニムで表現したものだ。「テーパードを効かせたシルエットも見どころですが、ストレッチデニムによる快適なはき心地も自慢です」。今年らしく、ボリューム感のあるスニーカーやオーバーサイズのトップスとともに楽しみたい。
デニムのトレンドは原点回帰
新フィットはブランドイチの太さ
ノンネイティブ
デザイナー 藤井隆行さん 藤井さんがブランドに参加してから17年。その間、毎シーズン手掛けてきたデニムについてこう語る。「デニムはシルエット、色などで常にトレンドを表現するもの。いつもそれを意識してデザインしてきました」。そして今季、新しいシルエットをリリースした。
「意識したのは、言わずと知れた通称“66モデル”です。モデル名もずばり、“クラシックフィット”。膝下から若干テーパードをかけていますが、オリジナルに近いシルエットを目指しました」。これまで展開してきたモデルより、明らかに太いシルエットが目を引く。「今、デニムはオーセンティックな姿に回帰しています」。かつて慣れ親しんだデニムが、センスと時代感を纏い現代に返ってきたということだ。
鈴木泰之=写真 星 光彦=スタイリング 菊地 亮=文